中国の富裕層 海外移住希望者が倍増

【大紀元日本6月2日】中国で最近発生した連続無差別児童殺傷事件は、国民に強い衝撃を与えた。特に富裕層の中には、身の安全のために警備員を雇う人が増えているという。社会不安が増すにつれて、自分の財産への危機感を感じる人も少なくない。海外への資産移転や、海外移住を希望する人が年々増えている。

四月上旬に発表された「胡潤財富報告書」の推算によると、中国には現在、5・5万人の億万長者がいる。このうち、外国の市民権や永住権を取得している人の明確な数字はない。北京の出入国仲介協会のデータによると、アメリカへの投資移民の申請を提出した人は、2008年の500人から2009年の1000人と倍増している。「経済観察新聞」は、裕福層の海外移住は中国の人材と財産の海外流失だと指摘した。

財産保全のために海外へ

貧富の格差と権利の不平等により引き起こされた社会問題は、ますます激しくなっている。市民の不満と反発を抑えるために、政権が武力弾圧に踏み切ることも多い。政権に対する社会の不満が顕在化している今、億万の財産を蓄えた富裕層が、海外に財産を移転したり、家族を移住させたりするケースが目立っている。最近オーストラリアで報道された曾慶紅・前国家副主席の息子である曾偉氏が、シドニーで約28億円の豪邸を購入し、投資移民の資格を取得したのはその一例だ。

また、政府が貧富の格差を緩和するために、ある日突然彼らの財産を没収し、国民に割り当てるのではないかと心配する富裕層もいる。建築業で成功した李さんはその一人で、財産の海外移転や海外移住を考えている。

今年44歳の李さんは建築業でゼロからスタートし、10年あまりを経て今では3億元以上の財産をもつ資産家になった。山東省に生コンクリートの製造工場を持ち、その他にも約5千平方メートルの商業用地とデジタル関係会社数社を買収した。2年前、李さんはまず長男をカナダ・トロントの高校に送り、自分もカナダを行き来しているうちに、海外移住への希望が芽生えた。

海外移住の決意を固めた理由について、李さんは次のように語った。「一つ目は国内の投資環境が良くない。投資したいところに投資できないし、投資できるところは儲からない。二つ目は各種の税率が高い。三つ目は、貧富の格差が激しいので、いずれまた貧富均等制度が実行されるのではないかと心配している」。

安全な生活環境を求めて、海外に移住

中国経済の発展は、人権、環境、資源を犠牲にして成し遂げたものである。自然環境と社会環境の破壊によって引き起こされた健康問題も多い。このような環境から離れるために、海外移住を計画している人も少なくない。上海市の劉青山さんは、その一例である。

48歳の劉青山さんは上海市郊外にガラス製品の製造会社を持ち、個人資産は数億元に上る。「我々の世代は、子供の頃貧しく、学生時代は重い学業に耐え、仕事をするようになると上司の顔色を常に伺いながら過ごしてきた。自分が起業してからは、数百人の職員への責任を抱えて緊張する毎日。さらに接待でご馳走やタバコ、酒につき合わなければならない。金は稼いだが、その代償は自分の健康だった」と劉さんは話す。

劉青山さんは、カリブ海の砂浜と自然豊かな生活に憧れている。上海市の灰色の空と道路を埋め尽くす車、立ち並ぶ高層ビルと混雑する人混みから離れて、長年の夢だった海外移住計画を実現しようとしている。

 (翻訳編集・小松)
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