雲南省石林風景区、原住民のサニ族に立退き強要 「世界遺産保護」か

【大紀元日本6月22日】世界遺産に登録されている雲南省石林風景区は、タワーカルスト奇岩で「天下第一の奇観」と中国で知られている。見所の一つは、区内に生活しているイ族の支系であるサニ族の村。最近、この村に住んでいるサニ族の人々は、当局から環境保護を理由に風景区から移転するよう迫られている。

一方、区内では、大型のゴルフ場やクラブなど娯楽施設の建設工事が進んでいる。

移転問題に直面しているのは、五棵(か)樹村のサニ族の村民千人以上。中国国内の報道によると、07年、石林風景区が世界遺産登録に成功したが、県政府は昨年3月、村民らの生活排水が石林湖に流れ込み、生態が破壊されていると主張、村民に対し村を移転するよう通知を出した。世界遺産申請時に中国政府が、3年以内に保護区内の村民の移転を承諾したためだという。

石林県政府側は、同村が一級保護区内にあるため全体の立退きが必須であると主張している。代わりに、保護区から1キロ離れた場所にイ族の第一村を建設し、各戸に50平方メートルの住居補償もしたという。

村民らは、五棵樹村は自分たちが代々住んできた場所であるし、イ族第一村は四方を山に囲まれ外界との接触が不便であるうえ風水上問題があると主張、移転を拒否している。怒った村民らは裁判所に県政府を訴えたが、裁判所はその訴訟を受理しなかった。

一方、雲南省社会科学院の楊福泉副院長は、「世界遺産公約」には、原住民を移転する規定は設けられていないと指摘、サニ族を移転させる当局の行動に疑問を呈した。「原住民自体は、この世界遺産の文化的な部分となっている。原住民を追い出したら、この世界遺産の内容も変わってしまう」と同氏は話す。

村民らの話によると、生体環境保護を理由に自分たちを追い出そうとする県政府は、風景区内にバーやナイトクラブを含む娯楽施設やゴルフ場を建設しており、生活環境を著しく破壊するものであるという。

現在、保護区内では54ホールの大型ゴルフ場が建設中で、一部区画ではすでに芝生も敷かれているという。

(翻訳編集・坂本)
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