賃上げ・スト風潮、香港企業に大打撃 撤退の可能性も=香港中小企業聯合

【大紀元日本6月24日】富士康からホンダまで、今中国大陸に蔓延している賃上げ風潮と労働争議は、珠江デルタ一帯の香港企業にもダメージをもたらしている。今年末までに1千から2千社の香港企業が閉鎖し、香港企業は将来的に中国市場から撤退するものと、香港中小型企業聯合会は予測する。

連日の労働争議事件の影響を受け、中国では今年30省・区近くで最低賃金の見直しが行われるようになった。広州市では5月1日から最低賃金が920元にアップ、北京でも7月1日から最低賃金を800元から960元にアップする予定だという。現在、深セン経済特区の最低賃金は1千元、上海では1千120元となっている。

賃上げ風潮を引き起こした台湾企業の富士康グループでは、1週間で2度の賃金アップが発表され、一般従業員の給与は900元から2千元にアップしている。富士康のような賃上げ幅に従えば、珠江デルタ一帯の香港企業にとって大打撃となると、香港中小型企業聯合会の劉達邦主席は憂慮している。

08年末の金融危機で大陸の香港企業は1万社近くが倒産し、約4~5万社が生き残った。賃上げスト風潮の中、香港企業は新たな倒産ブームの危機に立たされているという。劉主席の予想では、およそ1千から2千社が今年末に閉鎖し、中でも電子及び宝飾業のダメージが大。この他にアパレル業も技術労働者不足により生き残りが難しく、コスト削減のため内陸部への移転を迫られるとみられている。

劉主席は以前、従業員千人の縫製工場を試みたことがあり、福建省から技術労働者を招こうとした。しかし、広東と福建では賃金の差が少なく、労働者たちは広東省に戻って来たがらなかったので、福建省で工場開設を迫られる結果となった。更に、労働者たちを呼び戻すため、現地に幼稚園も開設した。技術者を引き留めるために、賃上げの他に福利厚生なども考慮しなければならないため、大企業のような財力に香港企業は及ばないのだと同氏は述べた。

「賃金が高くなるに伴い土地も高くなり、得られる利益は更に減少する。利益がなくなれば工場は自分の故郷に戻るか、他の低コストの国へ移転するしかない」。外資離れを懸念し、中国当局はすでに労働争議の報道禁止などスト回避の措置を取り始めている。しかし香港企業の大陸撤退は回避し難い現実であり、世界の工場である中国の優勢は失われつつある、と同氏は見ている。

(記者・李真、翻訳編集・坂本)
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