リーマン「ミニ債券」の再来 中国の銀行、信用リスクを投資家に転嫁=フィッチ

【大紀元日本7月1日】世界格付け大手のフィッチレーティングスはこのほど、中国の金融機関の信用リスクがさらに増大していると警告した。昨年中国政府が景気刺激策として、金融機関の融資枠を拡大させたため、金融機関の融資が急増し、それらの融資を更に商品化し、新たな金融商品として販売されることを原因にしている。

「銀行の貸出に関する情報は中国の銀行のバランスシートから消えている。そのため、急増した融資の総額及び信用リスクが過小評価されている」と、フィッチレーティングスのアナリストのシャーリーン・チュー氏はシンガポールで開かれたある会議において述べた。「しかし、それらの信用リスクは消えているわけではなく、投資家に移転されただけだ」と同氏が加えた。24日、ブルームバーグが報道した。

チュー氏によると、中国の銀行は貸出の債権を信託会社に売却し、信託会社がこれらの債権を商品化し資産運用金融商品に変えた後に再び銀行に渡し、銀行がそれらの金融商品を投資家に販売して得た収益で、貸出のリスクを相殺、あるいは低下させようとしている、という。

一方、この問題を中国の銀行に言及した時に、「もしこれらの金融商品に問題が出る時、リスクを負い損失を被るのは投資家であろう」との返答を得た、とチュー氏は述べた。同氏は「これらの金融商品はリーマン・ブラザーズが販売していたミニ債券と非常に似ている」と指摘した。

米金融大手リーマン・ブラザーズが香港とシンガポールで販売していた金融商品「ミニ債券」を購入した多くの個人投資家は、2008年同社が破たんした後に、巨額な損失を被った。香港では、一部の投資家はミニ債券を販売していた金融機関がリーマン・ブラザーズの収益状態を知りながらミニ債券を販売し続けたのは一種の詐欺だと主張し、同年秋に当局に救済を求めるデモを行っていた。

また、中国の金融機関は貸出に関する情報公開の意欲が低く、実際に隠されている信用及び流動性リスクの問題がさらに深刻に進んでいる可能性がある、とチュー氏は指摘した。

フィッチレーティングが株式市場に上場する中国の銀行の2009年財務報告を分析した結果によると、それらの銀行の貸出のうち、約72%の貸出が抵当担保などのある資産だが、過去のデータによれば、中国金融機関が公表する平均の企業不良債権回収率は34%だという。

中国当局は景気刺激策として、金融機関の融資枠を拡大させた結果で、昨年金融機関の総貸出額が過去最高の9.59兆元に達した。これに関して、チュー氏は6月23日香港で開催された会議において、中国金融機関の新規貸出は主に地方政府主導のインフラ建設プロジェクトや不動産開発に集中しているが、この主要2項目の中期的収益が楽観視できないため、「中国の金融機関の資産の質の劣化はほぼ確実だ」と警告した。

(翻訳編集・張哲)
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