北京市近郊 出稼ぎ労働者を囲い込み 「犯罪撲滅」のための管理か

【大紀元日本7月17日】北京市近郊の出稼ぎ労働者など低収入層が主に集まる村々で、最近、村を取り囲む高い塀が建設され、監視カメラが付けられ、入り口では鉄の門が設置され、警察と警備員が24時間体制で巡回している。随時に身分証明証の提示が求められ、夜間は村全体が閉鎖される。

「よそからの人口が多いため、閉鎖式の管理をする」。郊外の「老三余村」の郭瑞豊村長は、中国紙「南方週末」の取材に対して、こう語った。

数百万人の農村からの出稼ぎ労働者が増え続ける犯罪の原因であるとみて、北京市政府はこのほど、近郊16の村で、このような「閉鎖式管理」を実施している。夜11時から翌日6時まで、村では鉄の門を全部施錠し、住民は出入りできない状態に置かれている。

近郊の大興県「老三余村」では、4月からこの「閉鎖式管理」が実施され始めた。北京市公安局関係者は、「老三余村」で、これまでの開放的な自然村落から閉鎖式管理に切り替えたのは、常住人口の10倍といわれる流動人口の管理のためであるという。「人為的、科学的、合理的な方法」と大興県公安局副局長は「新京報」に紹介している。

これらの地区は家賃が安いため、大量の出稼ぎ労働者が住み着き、一部の村では現地の住民人口を遥かに超えている。

2008年の北京五輪期間中、そして昨年の中国共産党政権設立60周年のときも、「老三余村」でこの閉鎖式管理が実施された。今年に入り、政策として定着し、4月からは閉鎖式管理は市民全体に有利であると宣伝し始め、近郊でも広範にわたり実行している。

「これらの村は難民キャンプなのか。祖国に最も貢献している出稼ぎ労働者が自国で難民扱いされている」とネット上で批判の声が殺到。北京市政府の「囲い込み政策」が国民から注視されている。

AP通信は報道記事でこの話題を取り上げた。山西省出身の賈楊貴(ジャ・ヤングイ)さんは、2ヶ月前に北京にやってきた出稼ぎ労働者である。いまは、親戚とともに「大生庄村」に住んでいる。彼はこの「閉鎖式管理」を、重労働の農作業から解放される交換条件と受け止めている。

出稼ぎ労働者の福利厚生問題を研究する李文華(リ・ウェン・フア)氏は、「この政策は極めてでたらめで、長期的に良い政策とは言えない。政府は犯罪増加の根源をしっかりと研究し、出稼ぎ労働者への教育や健康問題などへの取り組みを改善すべき」との見解を示した。

「治安はよくなっている」と中国国内紙は報道しているが、「老三余村」のある売店の経営者の話によると、顧客がどんどん減り、経営が行き詰っていると嘆いた。「以前午後になると、村中は賑わっていた。いまでは、村全体がシンとしている。政府はなぜ、大金をこのような役立たずの塀の建設に費やし、汚い公衆トイレやガタガタの道路を修繕しないのか」と不満を漏らした。

中国の全国各地でここ20年間、犯罪率は上昇しつづけている。中国社会科学院が2月に公表した報告書によると、昨年1年間で発生した、殺人、強盗、暴力などの重犯罪は、前年比10%増にあたる530万件に達している。

(翻訳編集・叶子)
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