松花江の大規模化学汚染、ロシアも巻き添えか

【大紀元日本8月2日】中国東北部の吉林省でこのほど、大洪の発生により、510トンの化学原料が入った約7千個のタンクが松花江に流され、大規模な化学汚染事故が起きた。隣の黒龍江省では、松花江の流域の一部ですでに河水の飲用を禁止する通知を出しており、下流に位置するロシアでは、事態を憂慮し、中国側に対し事情説明を求め、緊急対策に乗り出している。汚染された河水は8月中旬にロシアに流れ込む見通し。

タンクに入っている化学物質はトリメチルクロロシラン(化学式(CH3)3SiCl )。無色な液体で発がん性が指摘されている。先月30日18時の時点で、5割強のタンクはすでに引き上げられたが、残り約3300個は依然、松花江を漂流している。

汚染された河水は8月2日前後に、黒龍江の肇東地区に到着する予定で、現地政府は、松花江の水の飲用と農業灌漑を禁止すると通知した。松花江下流のハルピン市やジャムス(佳木斯)市などの都市は、緊急対策方案を発動、隣接する遼寧省や内モンゴルなどに支援を求め、水の調達に乗り出している。

汚染された水はその後、8月10日から12日前後にロシアのアムール川に流れ込む予定。ロシア連邦気象・環境観測局の発表によれば、同川沿岸の地区では、住民にボトル水などの生活必需品を購入する補助金を支給する計画で、24時間体制で水質の観測に当たっているという。

ロシア自然資源部の関係者は、「我々は中国政府に事情説明を求めたが、まだ回答を得ていない」と話した。

ロシア外務省によると、北京のロシア大使館、瀋陽市のロシア総領事館などが中国の関連政府機関と綿密に連絡を取り合い、事態の行方を見守っている。

松花江ではここ5年間で3度の重大汚染事故が発生した。

2005年11月に、吉林市の石油化学工場の爆発で下流の黒龍江省やロシア、オホーツク海までベンゼンなどが流れる大規模な事故が発生、飲用水や漁業に影響を与えた。ロシアメディアの報道によると、その影響を受け、当時、両国政府は関連の協議を締結、国境地域と河川で発生した緊急事件を互いに通報すると義務付けた。しかし、今回の汚染事故について、中国政府は迅速にロシア側に通報しなかったという。

一方、7月30日に、環境保護機関は、吉林省を流れる松花江の水はすでに国家の規定水準に達したと公表、省内の水道水の供給を再開した。現地住民が本紙に寄せた情報によれば、水道水は以前に比べて色がついており、ゴミも混じっているという。

(記者・Chen Yilian 翻訳編集・叶子)
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