上海万博 「チベット人のために創った」バレエ劇中止へ 裏で当局の圧力か

【大紀元日本9月12日】9月8日に上海万博会場で公演が予定されていた英国のバレエ劇「在水一方(The Far Shore)」は、ブリティッシュ・カウンシルと英国ロイヤル・バレエ団からの要請により中止となった。バレエ劇の作曲者、ピート・ウァイヤー氏(Pete Wyer)氏の「(この曲は)チベット人のために創った」という言葉が、「政治的な媒体」になりうると判断されたためだ。中国ウォッチャーは、チベット問題に敏感な中国政府からのクレームがあったと見ている。

このような決定に対し、同氏は「深い失望と落胆を感じる」と述べている。

同氏は、このバレエ劇は民間の故事を題材にしたものだとした上で、次のように述べた。

「この物語が伝える内容は、真相が、欺瞞と暗黒の勢力に勝利するというもの。私は、この作品をチベット人のために創った。たとえ彼らが危険にさらされても、彼らのために真実を語り、彼らの文化を護り、彼らを是認することが必要だ」

これは、今回の上海万博で、政治的な原因により外国の文化芸術団体が公演を中止される初めてのケース。

ピート・ウァイヤー氏は、自身の発言がもとで公演が中止になったことについて、振付師や出演者らに陳謝した上で、次のように述べた。「バレエ作品を政治の道具にすることは間違っている。私は、個人のささやかな心情としてこの曲をチベット人に捧げたいと思っただけであり、政治とは何の関係もない。私はただの芸術家であって、政治活動家ではない。しかし、私は深刻な事件やその原因に関して注目しているとともに、それを自分の音楽を通じてこれからも表現していくだろう」

ブリティッシュ・カウンシルと英国ロイヤル・バレエ団からの決定に中国当局からの圧力があったかどうか明らかにされていないが、中国問題超党派議員グループの副主席のマークプリチャード議員は、中国国家リーダーらの「言論の自由に対する過剰な反応」が今回の公演の中止に繋がったと主張した。「実質的に、中国当局はブリティッシュ・カウンシルに圧力を掛けたように見える」という。

コロンビア大学のチベット研究専門家・バーネット教授は、「公演の中止は、中国との外交関係でよく見られる特徴的な処理の仕方、つまり相手が要求する前にこちらが先に自粛する。自ら妥協してしまう」と指摘、「正しい対処の仕方は、中国で上演しながら、『不快感を与えたらごめんなさい。こんなハプニングは予想しなかったが仕方ない。イギリスの価値観からすると、アーティストの個人的観点に干渉してはいけないからだ』と相手に伝えることだ」と話した。

(翻訳編集・牧)
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