宗教を消滅するための中国宗教局

【大紀元日本10月18日】中国国家宗教局の局長王作安は先日、訪問先の台北で、台湾法輪大法学会から台湾高等検察署に「集団絶滅」と「民権公約違反」の罪で告訴された。中国共産党当局の法輪功迫害を、王作安が直接計画し、積極的に参与してきたことが理由である。

筆者は、王作安の台湾訪問スケジュールの中に、台湾のローマカトリック司教・単国璽氏への表敬訪問があることを知った。単司教と面識があったので、キリスト教の慈愛と公儀に基づき、王作安と面会した際にはぜひ法輪功への迫害を中止せよと求めるよう、手紙を書いた。

思いがけず、その後、単司教から電話が入った。尊敬する単司教は、わたしからの手紙を受け取った後、王作安と面会した際に宗教信仰への迫害を中止するよう求めたことを私に伝えてくれた。

面会で次のようことを厳粛に王作安に伝えたという。中国は勃興した大国になろうとするなら、人類の普遍的人権、とりわけ宗教信仰の権利を奪ってはならない。さもなければ、中国は国際上大きな汚点となるのだ。「調和的社会」(胡錦濤が提唱する理論)を構築しようとするならば、宗教信仰を迫害してはならない。なぜならば、宗教は人間の心から倫理道徳を重んじるものなので、法律は強制的に人心を左右することができないし、人間は宗教信仰を通じてこそ善良になれるからである。すなわち、そうなって初めて社会は調和的になるのである。

電話で、単司教は次のようにも言及した。実際、迫害を受けているのは法輪功だけではない。中共が政権を手にする前から、中共の占領地帯でカトリックやキリスト教などに対する迫害が始まっていた。迫害を受けた司教の中には、単司教の知り合いもいたという。単司教はさらにズバリと中共の宗教迫害の本質を指摘した。「中共の宗教局は実は、宗教を消滅するためのものだが、宗教を消滅できないとわかると、今度は宗教を利用しようとするのだ」

まったくおっしゃる通りだ。無神論の中共下にある宗教局は、宗教を消滅しつつ利用すること以外に、何の役割を果たすというのだろうか。

台湾政府は、法輪功迫害を行う人権犯罪者をも台湾に招いているが、民主自由の台湾には健全なる公民社会があり、体質健全なこの公民社会は、独立して判断する能力、自主的に行動する能力、かつ善悪をはっきりと弁別する能力を持っているのである。尊敬すべき単司教もその一例である。このような健全なる公民社会は、中共からの虚言や詐欺を防ぐことができるのみならず、台湾政府に対しても監督する役割を果たすこともできるのである。

話が戻るが、法輪功の学習者たちは、王作安の台湾滞在中、移動する道路のそばで抗議活動を展開したり、「法輪功への迫害を止めろ」と直接に警告したりしたため、彼の台湾訪問はあたかも“通りを横切るネズミ(鼻つまみ者)”のようであり、びくびくしていた。台湾を離れる前に、今回の訪問は「中台の宗教間の認識の差を短くさせた」とのコメントを出したが、このような海賊的な虚言で、是非を判別できる多くの台湾人を騙すことはできない。

(翻訳編集・小林)
関連記事
元米国務長官マイク・ポンペオの中国政策上級顧問、シンクタンク、ハドソン研究所の中国分析センター所長である余茂春氏は、「中国共産党の最大の弱点は人権」とし、「米国が中国との関係で優位に立つためには、この点を狙わなければならない」と明らかにした。「人権問題は中国と米国の関係、さらに中国と他のすべての国の関係に大きな影響を与えるだろう」と強調した。
中国では5月1日より、違法な臓器取引を取り締まる新法が施行される。だが、長年にわたり死刑囚や囚人からの強制的な臓器摘出の証拠が絶えない中、新法でこの問題が止むのか。専門家は一様に首を横にふる。
今から25年前の1999年4月25日、法輪功の学習者たちが中国共産党の政治的中枢「中南海」で陳情を行った。その現場に立ち会ったオーストラリアの法学者で元北京大学教師である袁紅冰氏はその時に受けた深い印象を語った。
事情に詳しい関係者によると、中国の国家安全局は監視対象となっている在外学者のブラックリストを作成しており、該当する者が中国本土に渡航すれば事情聴取や拘束されるリスクがある。
2024年4月15日、浙江省杭州市の交通警察によって電動バイクを押収された女性配達員が「抗議するため」橋から飛び降て自殺する事件が起きた。