【漢詩の楽しみ】 登岳陽楼 (岳陽楼に登る)

【大紀元日本11月6日】

昔聞洞庭水 今上岳陽楼

呉楚東南坼 乾坤日夜浮

親朋無一字 老病有孤舟

戎馬関山北 憑軒涕泗流

昔聞く洞庭の水。今登る岳陽楼。呉楚東南に坼け、乾坤日夜浮かぶ。親朋一字無く、老病孤舟有り。戎馬関山の北。軒に憑れば涕泗流る。

盛唐の詩人・杜甫(712~770)の一首である。詩聖と称された杜甫の作風を一言で表すならば、大いなる「憂い」ということになろう。その沈鬱の裏には、杜甫の思い描く壮大な人間愛やヒューマニズムといった理想がある。ただ、一時期を除いて生涯のほとんどが不遇であり、また老病をかかえた身であった杜甫は、例えば李白のように豪放磊落にふるまうことはできず、その作品の最後部では涙に胸を詰まらせるものが多い。

ここ岳陽楼の手すりにもたれて、杜甫はやはり泣いた。詩に云う。昔から聞いていた洞庭湖の壮大さ。私は今、その湖畔にある岳陽楼に登って、広い風景を眺めている。呉国と楚国はこの湖によって東と南に引き裂かれており、その湖面には、天地宇宙のすべてのものが日夜を問わず浮かび来る。しかし老いて病んだ今の私には、親類や友人からの一字の手紙もなく、ただ一艘の小舟があるだけだ。今もなお、北の故郷の地では戦乱が続いていると聞く。この楼上の手すりに寄りかかれば、おのずと涙が流れ落ちてくる。

その深い憂いに共感しなければ杜甫の詩を味わうことはできないのだが、現在この場所は、杜甫の詩にも増して憂慮される事態となっている。

洞庭湖は、湖南省の北部にある中国第一の湖として、古来より風光明媚にして人々の生活を支える豊かな水をたたえてきた。ところが、その洞庭湖が今、すさまじい水質汚染にさらされているのだ。水の過剰摂取による渇水も深刻であるという。

洞庭湖のみならず中国全土が、まさにこの状態にある。現代中国のその惨状を想像すると、また杜甫のように憂愁の涙を禁じ得ない。

(聡)
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