1面に「空席のイス」 南方都市報、平和賞欠席をほのめかすか

 【大紀元日本12月14日】広東省の日刊紙・南方都市報が12日付けの1面に、意味深長な「空席のイス」写真が掲載されたことが中国語のネット上で話題を呼んでいる。

 果敢な報道で知られる同紙の1面を飾る写真は、10日に開かれたノーベル平和賞授賞式に受賞者の中国人反体制者・劉暁波氏が出席できなかったことについて、当局への抗議の意図が込められているのではないかとの見方が広がっている。

 この日の南方都市報のトップ記事は、同省で開かれるアジア・パラリンピック大会に関する記事だ。一方でトップを飾った写真は、3つの空席のいすの前に、平らの台を悠々と歩く5匹の鶴とスタッフの手。記事のテーマとまったく無関係のように見えるこの風景に、読者へ「なぜこの写真が」との疑問を浮かばせる。

 中国人ネットユーザーは、写真の意味を分析する。平らの台の「平」を取り、鶴は「和」と同音、手のひらを意味する「掌」は「奨」と似た発音であるため、この写真は「平和賞」を意味すると解読している。また「鶴」は「賀」とも同音字だから、「平和賞受賞を祝賀する」というメッセージが込められているという。

 10日にオスロで行われた平和賞授賞式で劉暁波氏のために空席のイスが用意されたことから、現在、中国当局の検閲で「空椅子」という言葉のネット検索ができなくなっている。

 一方、南方都市報の関係者は香港紙・明報の取材に対して「写真はパラリンピック大会のリハーサル風景であり、それ以上の意味はない」と答えた。

 「平和賞とは無関係」と説明している同紙をよそに、「絶対にわざとだ」とネットユーザの間で褒め称える声が相次いだ。「さすが南方都市報。創意と勇気のある行動だ。この写真には、自らの意志を表明し、なお当局に言いがかりを付けさせないという工夫を滲ませている」と、中国では業界随一の良心と勇気のあるメディアと称えられている南方都市報への敬意を表す発言が、ネット上に溢れている。

 中国の厳しい報道規制の隙間をかいくぐりながら、大胆な報道に挑戦し続けている南方都市報は今年の6月1日にも、読者投稿の形で男の子が戦車の前に立つ人の絵を描いた漫画を掲載し、21年前に起きた天安門事件での政府の武力鎮圧を暗に批判した。

 (翻訳編集・張凛音)
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