元エンジニア「私は乗らない」 中国高速鉄道、疑問視される安全性

【大紀元日本3月2日】急速に敷設が進められてきた中国の発展のシンボル、高速鉄道。しかし、最近、乗客に危惧を与えるような話がいくつも浮上しており、中国高速鉄道の安全性を疑問視する声が一段と高まっている。

22日付けの中国経済週刊に、人民日報陝西支社の杜峻暁・支社長による寄稿が掲載された。同支社長が、国の輸送インフラを建設する企業である中国中鉄に勤める友人に「高速鉄道には危険性が潜んでいるのではないか」と尋ねたところ、「定年退職したうちのエンジニアが職場を離れる前に、『わたしは絶対に高速鉄道には乗らない』と漏らしていた」と意味深長に答えたという。

中国の高速鉄道の発展の速度は「尋常ではない」と杜支社長は指摘する。「何事も速すぎると粗末になりやすい。高鉄に関しては、粗末な作業が命取りになる」と述べた。

杜氏は、先進国での高速鉄道建設は時間をかけるのが正常だ、と知り合いの話を引用して言及した。線路を敷設し、時間をかけて自然沈下させ、さらに各種の実験や検査を重ねるという。それに比べ、中国の高鉄建設は、「測量しながら、設計しながら、施工する」という3つの「ながら工事」だと杜支社長は明らかにした。

このような突貫工事を進める中国の高速鉄道の安全性を憂慮した同氏は、「人命に関わる事故が起きてからでは遅い。警鐘を鳴らしたい」と寄稿の意図を語り、鉄道建設にかかわったエンジニア自身がその鉄道を利用したくないというのは、「決して彼が臆病だというわけではないはずだ」と結んだ。

高速鉄道トップらの失脚、安全性との関連

中国鉄道部(省)のトップ・劉志軍部長が先月12日に解任され、「重大な規律違反の疑い」で取り調べを受けているところだが、28日にも「中国高速鉄道技術の第一人者」と呼ばれる中国鉄道部運輸局局長で、副総エンジニアの張曙光氏が拘束され、取り調べを受けている、と鉄道部が発表した。

高速鉄道の急速な建設を推し進める劉部長と張局長の相次ぐ失脚について、17日付のニューヨーク・タイムズは、中国政府が高速鉄道網整備のあまりの速さに不安を感じ始めたのではないかと分析した。

それを裏付けるかのように、劉氏の後任の盛光祖・鉄道部部長は、今後鉄道部は「品質と安全を建設の核心とする」と発言し、自身がもっとも重視するのは「安全問題」であることを強調した。

ニューヨーク・タイムズはこの発言から、劉氏が主導する中国の高速鉄道の建設において、工期短縮や予算維持のための「手抜き」があったことが窺われると報道している。

同紙は鉄道部関係の専門家の話として、中国の高速鉄道のコンクリート部に使われる化学強度剤が不足していることを明らかにした。現在の時速350キロを維持すると、数年後にはコンクリートの劣化が進む。それに加え、建設に直線区間も取れなくなるため、5年以内に高速鉄道の時速を300キロ以下に落とさなければならなくなる、とこの専門家は分析している。

中国の鉄道建設コストは他国に比べ、格段に低い。アメリカでは1マイル(1.6キロ)の建設費用は4000万~8000万ドルと言われているのに対し、中国ではその額が1500万ドルに抑えられている。「中国は建設全般のコストを抑える一方で、設備は外国から高性能・高価格のものばかり輸入している。このため、鉄道敷設の材料など品質にかかわる問題が引き起こされる」とニューヨーク・タイムズは同専門家の意見を引用する。

JR東海の葛西敬之会長は、昨年4月、英紙フィナンシャル・タイムズの取材で、中国の高速鉄道は「日本の設計に基づきながら、設計速度を25%超えるスピードで運行している」と指摘し、中国高速鉄道は安全性を軽視しているとの見解を示している。

(翻訳編集・張凛音)
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