地元住民も加入 フクシマ50は580人に 命掛けの作業は通常の賃金で

【大紀元日本3月26日】核放射線に被ばくする危険を冒して、停電する原発の現場で懐中電灯を頼りに高いところに登って送電線を修復する。放射線漏れの災難を阻止するための命掛けの作業だ。24日、福島原発の現場で作業にあたった男性3人が被ばくしたニュースが伝えられた。

大地震の中で深刻な事故が続発したことから、日本を放射能漏れの危機に晒した福島原発が非難を浴びるなか、現場に残った作業員が脚光を浴び、世界で無名の英雄として賞賛されている。海外メディアから「フクシマ50」と呼ばれるこれらの作業員は実は、地震発生時に監視のために退避しなかった東電の職員50人だけではなく、子会社や下請けの作業員も含め総勢約580人の交代作業体制をとっている。中には臨時で雇用された地元の作業員も多くいるという。

死を覚悟での作業は自ら志願して乗り込むことが求められている。しかも、通常の賃金で。 ウォール・ストリート・ジャーナル25日の記事で、知られざる「フクシマ50」の姿がクローズアップされた。

東京電力の下請け会社、東海塗装に勤務する保護塗装のスペシャリスト・多田堅司さん(29)もその一人。「怖いが、誰かが行かなければならない」と話す。多田さんの通常の月給は約20万円で、日本のサラリーマンの平均月給29万1000円をはるかに下回る。現場での作業は、特別な報酬や既存の災害・疾病保険以外の特別手当ては支払われていないという。

多田さんと同じく東海塗装から派遣された要員は224人。東海塗装の池田義専務取締役によると、要員の多くは退避指示が出された地域の住民であり、事態収拾のためには支援を惜しまないという。「カネのためにこの任務を引き受けている者は誰一人いない」と池田専務は述べた。

福島第1原発から約30キロの田村市の避難所にいる、原発設備メーカーの男性社員も、今週初めに現場勤務を要請されたと述べた。男性は高卒で、月給は多田さんと同程度。男性は、他人のために自らの命を犠牲にした第二次大戦中の神風特攻隊を思い出して、要請を受けたという。

大地震後、福島原発は、相次ぐ水素爆発や核燃料を保管するプールの水の水温上昇等深刻な事故が続発したことで非難を浴びた。そんな中、14日まで現場にいた福島第2原発の女性所員・大槻路子(22)さんがネット上で、被害の拡大を食い止めようと夜通し疲労と空腹に耐え、足を引きずりながら作業し続けた作業員たちがいたことを伝える日記を公開したことから、原発現場に残った作業員の勇気が多くの人に感動を与えた。

大槻さんは日記で、福島第2原発の所員は爆発が起きるのを防ぐため避難せずに命懸けで作業を続けており、彼らを非難しないでほしいと切に訴えており、その内容が大きな反響を呼んだ。

一方、同じく原発現場に赴く父(59)と家族の別れのシーンをブログに掲載したもう一人の女性は、「母がここまで泣き崩れたのを今まで見たことはありませんでした。私もただただ泣くだけで、どうしようもなく泣いていました。父を誇りに思います。無事に戻って来られるように祈っています」と語った。女性の父親は妻に「普段と同じように出勤するだけだ」、「被災地の人々に安心感を与えるために私は一生懸命努力するだけだ」と言葉を残し、15日の早朝に出発したという。

(翻訳編集・余靜)
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