「救援物資は支援国に配達責任」 中国大使が非難するも「国際慣例」

【大紀元日本4月2日】東日本大震災をきっかけに、かなり対日友好ムードになった中国のネット掲示板はこのほど、少し風向きが変わってきた。そのきっかけは、中国の程永華駐日大使が、日本の救援物資の受け入れ態勢を非難したことだった。

29日、東京都港区の中国大使館内で開かれた記者会見で、程大使は、中国が提供したミネラルウォーターなどの救援物資について、日本政府から、荷卸から被災地への配達まで中国側が責任を持ち、費用も負担するよう要請されたことを明らかにした。程大使はこれについて「困惑の意」を示し、日本側の要請を理解しがたいものだと主張した。

程大使のコメントはその日のうちに、環球網などの政府系メディアを通じて広がり、ネットユーザーの間で大きな波紋を呼んだ。「せっかくの好意なのに。もう何もしてあげない」「ほらね、日本はつけあがっている」「やはり友好なんて無理よ」と、怒りのコメントが相次いだ。

しかし、環球網などの報道で言及されていない点に気付いた人もいる。31日のシンガポール紙・聯合早報に投稿された「駐日大使の不満からみた日中関係の脆弱性」という記事で、ペンネーム「老党」の著者が「もし、これが日本政府のやり方だったら(中国に対してだけでない)、別にいいのではないか?どうして私たちの報道ではその背景について触れないの?」と問いかけた。

事実、毎日新聞が30日の報道で外務省の主張として、国際社会では原則的に、被災国の負担を増やさないよう支援国が自ら救援物資を運ぶことになっていると伝えた。2006年に制定された「オスロ・ガイドライン(災害救援における外国軍隊と民間防衛資財の活用に関するガイドライン)」という国際的な取り決めで、「外国からの支援は別段の合意がない限り、被災国の費用負担なく提供されるべき」と規定されている。

老党さんは聯合早報への投稿の中で、「もし環球網などの記事の中で、日本の主張の背景について触れていれば、こんな大きな波紋を広げることはなかっただろう」と指摘し、記者が意図的にその点に言及しなかったとしたら、「その意図はみごとに全うしたと言えよう」と述べた。

また、程大使は外交官として、自らの発言が、敏感な日中関係に与える影響を自覚しているはずなのに、このようなパフォーマンスをするのは賢明ではないと老党さんは批判した。

さらに、老党さんは市民に対し、断片的な情報に煽られて、感情的な反日に陥らないよう訴えた。

一方、程大使のニュースに関し、環球網で「中国の救援物資に対する日本の異常な態度をどう思うか」というアンケートが行われた。2日午前6時時点で、1万9362票が集まり、「理解できる」との回答は全体の3.4%の660票で、96.6%にあたる1万8702票が「反感を持つ」との反対票だった。

(翻訳編集・張凛音)
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