死刑判決の露店店主に支援の動き 政府メディアも容認 深刻化する社会対立への配慮か

【大紀元日本5月18日】2009年5月に遼寧省瀋陽市で、無許可露店の乱暴な取り締まりのため、「城管」と呼ばれる都市管理の保安要員が店主と衝突し、2人死亡、1人重傷という事件があった。店主は一審、二審とも死刑判決を言い渡された。しかし、中国では城管の暴力がたびたび問題となっており、市民からの反感が強かった。9日の二審判決後、店主の行為は正当防衛だと主張し、最高裁に嘆願書を送るなど、死刑判決の見直しを求める動きが広まっている。人民日報など政府系メディアも詳しく事件を取り上げており、官民対立が深まる一方の社会背景に配慮を見せている。

死刑判決を言い渡されたのは同市在住の夏俊峰さん。裁判所は夏さんの殺害手段が残忍で、情状酌量の余地がないとして、死刑を言い渡した。一方、被告側は管理事務所に連れて行かれたとき、二人の城管から暴力を受け、自己防衛のために殺傷したと反論し、無罪を主張した。

米VOAによると、二審判決が出た当日、市民運動活動家らはインターネットで夏さんと家族を支援するための募金活動を呼びかけ、わずか2日間で全国から18万元が集まったという。

その後、支援者らが最高裁に嘆願書を送る活動を始め、判決の見直しを求めた。「(判決を覆す)可能性は低いが、がんばるしかない」と支援者の一人がVOAに語った。

事件が起きたあと、全国から夏さんを応援し、城管の凶暴ぶりを批判するコメントがインターネット掲示板に書き込まれた。政府批判に繋がる可能性のあるコメントは通常なら即時削除されるが、今回は閲覧可能となっている。

人民日報や中国青年報など政府系のメディアは事件を大きく取り上げ、検察側の言い分と被告の主張、家族の心情を詳述した。人民日報のウェブサイト人民網は記事の最後に正当防衛についての説明を行った。これまで公務執行者への暴力を批判してきた政府系メディアにとって、今回の論調は異例とも言える。

また、数々の社会問題をスクープしてきた地方紙・南方都市報は社説を掲載し、事件の司法手続きについて疑問を呈し、最高裁に「歴史の試練に耐えうる公正な判決を望む。それをもって、社会の対立感情を緩和させよう」と呼びかけた。

城管は無許可で営む露店への取り締まりを業務とする。従わないと、暴力で店主を追い散らしたり、品物を取り上げたりする。また、営業を黙認する代わりに費用を徴収するなど中国では悪名高い。今大きな社会問題となっている土地の強制収用の執行もその業務の一つで、政府の末端ではあるが、市民の怒りの矛先が最も向けられやすい存在でもあり、これまで市民による城管の殺害事件は何度もあった。

今回の政府メディアの報道は、こうした世論の風向きを無視できなくなったためのものといえる。

(翻訳編集・高遠)
関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明