盗難・誤字・大富豪クラブ 名所「故宮」に異変

【大紀元日本5月19日】中華文明の貴重な歴史的文物を所蔵・展示している北京の故宮博物院で、総額数千万元(1元=12.5円)の文物が盗まれる事件が発生し、これをきっかけに浮上した一連の失態に、中国国内で非難が集中している。

5月8日夜、同博物院では展示中の文物7点が盗まれる事件が発生。犯人は展示室の壁に穴を掘って侵入したもようだった。専門家は、被害総額は数千万元に達すると試算している。

11日夜、犯人が逮捕された。犯人は「素人」で、事前に計画した犯行ではないと報道された。この日、参観に訪れた犯人は、周りの状況を見て犯行を思い立ったという。参観途中で空室に侵入して身を隠していた犯人は、夜になって壁に穴を掘って展示室に入り盗みをはかった。しかし、盗んだ文物を何者かに鑑定してもらった結果、偽物であるといわれてゴミ箱に捨ててしまった。貴重な文物3点が未だに行方不明だという。

警備体制が極めて厳重なはずの故宮博物院でなぜ、このようなずさんな犯行が起きたのかが、当初から問われた。犯人の逮捕を受け、一件落着するはずだったが、さらに問題が発生した。

13日、故宮博物院は犯人逮捕に尽力したことをねぎらい、北京市公安当局に表彰

「災い」の元となった問題の表彰旗。赤丸の文字に注目(ネット写真)

旗を贈った。旗に書かれた10文字「撼祖国強盛、衛京都康安(祖国の強大と繁栄を守り、首都の安泰を保衛する)」が次なる災いをもたらすこととなった。

この10文字の旗を見たネット利用者は、「撼」は誤用で、正しくは「捍」であることを指摘した。「撼」は揺さぶるとの意味で、守るの「捍」とは発音は同じでも意味は逆である。当初、故宮側は誤用ではないと強く主張したが、その後、公式ブログで誤用を認める謝罪文を出した。あるネット利用者は、「この謝罪文はまさに中国式である。言葉の隅々に言い訳がみられ、責任をほかに転嫁しようとしているだけだ」と非難した。さらに、300字余りの謝罪文に、十数カ所の文法の間違いと表現の低俗さがネットユーザーにより指摘され、「中学生でもこんなに下手な文は書かない」と酷評された。5月17日正午までに、謝罪文の転載回数は4万回に接近し、そのコメント数は1万7000件に達した。

しかし、「災い」は重なるものだ。同博物院側が近く修復予定の貴重な文化財である「建福宮」は大富豪の会員制クラブに使われるという情報が明らかになった。入会を促す「入会協議書」のコピーもネット上に流出した。一人当たりの年会費は100万元(約1250万円)。会員とその配偶者は同館内の施設を利用して、食事会やパーティー、会議を開催できるなどの内容が、規定が定められている。

故宮博物院側は即座にこのことは事実無根であると完全否定に出たが、16日の夕方になって、態度を一変した。ネットで声明文を発表し、同件は関連会社「北京故宮宮廷文化発展有限公司」の勝手な決定であり、博物院側は許可していないと説明した。

インターネットでは、「故宮という歴史文化の名所に、文化の教養がないのに文化人を装う人たちが集まっている」「物を失っただけでなく、面子までも失った」「故宮の珍蔵物が全て偽物にすりかえられても、この人たちなら気づかない」などと、世界遺産・故宮にふさわしくない一連の騒ぎに、批判の声が殺到した。

(翻訳編集・叶子)
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