北朝鮮秘密警察ナンバー2、処刑される 2009年米記者拉致事件の黒幕か

【大紀元日本6月22日】北朝鮮の秘密警察組織・国家安全保衛部のナンバー2である柳敬(リュ・ギョン)副部長がこのほど処刑された。罪は収賄と不法な蓄財だという。韓国紙・朝鮮日報が19日に伝えた。一方、脱北した北朝鮮の元幹部は、「これは金正日政権の見せしめ手段であり、恐怖政治の一環である」と分析した。

同報道によると、処刑された柳敬・副部長は2009年3月、中朝国境地帯での米国人女性記者の拉致事件を実行した黒幕である。

2009年3月、柳敬・副部長は、米国メディアの2人の女性記者が中朝国境地帯で取材するとの情報を事前に掴んだ。北朝鮮の諜報チームが朝鮮族の中国人ガイドを買収して、この2人の記者が北朝鮮の領土に侵入したとの事実を作り上げて拉致した。

同記者を救出するため、同年8月、クリントン前米大統領がピョンヤンを訪れた。北朝鮮はこの件を大々的に宣伝して、「米前大統領が金正日将軍に頭を下げた」と報じた。立役者である柳敬副部長には当時、共和国英雄という称号が授与されたという。

同報道によると、柳敬・副部長は小泉首相の北朝鮮訪問の実現にも貢献したとされ、これらの実績が評価されて、金正日総書記の寵愛を得て側近になったという。

報道は北朝鮮の内部情報として、同副部長は今年1月に収賄と不法な蓄財の罪で逮捕され、その両親と弟など一族全員が強制労働収容所に投獄されたと報じた。

一方、情報筋は、「これだけでは、北朝鮮体制を支える保衛部の主要幹部を処刑するまでにはならない」と指摘する。

脱北した匿名の元北朝鮮高官は同紙に対して、「窮地に立たされたときに、金正日はいつも見せしめの手段を取る。金正日の側近になっていい気になっていた保衛部も例外ではない。国民にこのことを警告するためでもあろう。柳敬の処刑は恐怖政治の一環に過ぎない」と分析した。

韓国の諜報機関は柳敬・副部長が突然寵愛を失って処刑された原因を全力で調査しているとも報じられた。

北朝鮮国家安全保衛部は主に、反体制派の取り締まりと、国民の監視を担っている。任意に逮捕・監禁する権限を持つため、北朝鮮国民にとっては極めて怖い存在である。5万人の工作員が全国各地の地方政権や各機関と企業に配置されて、全国民を厳しく監視している。そのトップが1987年に死去してから、金正日総書記が直接指揮を取っている。

(翻訳編集・叶子)
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