人権活動家の艾未未、保釈 権力闘争の結果か

【大紀元日本6月25日】中国の著名な芸術家で人権活動家でもある艾未未アイ・ウェイウェイ)氏が80日間の拘束を経て、23日に保釈され、自宅に戻った。温家宝首相が欧州歴訪する2日前の保釈について、同氏の釈放を求めてきた欧州各国からの批判をかわす思惑があるとみられる。また、一部の専門家は政権内のハト派の勝利によるものだと分析している。

当局は保釈の理由について、「良い態度で罪を認めた」、「慢性病を患っている」、「脱税した巨額の税金を全額返還の意向を示した」などをあげた。さらに、中国外交部の報道官は23日の定例記者会見で、保釈中の1年間許可なく自宅を離れてはいけない、と同氏の今後の活動をけん制した。

艾未未氏は4月、脱税などの疑いで北京空港から連行された。同氏は北京五輪のメインスタジアムの設計を手がけたほか、四川大地震で死亡した児童らの原因究明に取り組むなど人権問題活動家としても知られている。

中国の人権状況を批判してきた対話基金のジョシュア・ローゼンツバイグ氏はこの時期の釈放について、温家宝首相の欧州歴訪に影響を与えたくないためだと分析しており、「当局がメンツを挽回するための常套手段だ」と述べた。

欧州各国政府と芸術家らは同氏の釈放を呼びかけてきた。

一方、同氏の釈放はハト派の勝利だと見ている専門家もいる。拘束中、同氏を攻撃する記事が新聞に多く掲載されていたが、拷問などを受けておらず、妻との面会も一度許可されたことから、同氏の処置をめぐってハト派とタカ派による権力闘争があったとみられる。

香港紙アップルデイリーは厳しい内外情勢の中で波風を立てたくない意図があると分析し、同氏が保釈期間満了後、本当に自由になれるかどうかは上層部の権力闘争の結果次第だと指摘している。

NYタイムズは、人権問題においてこれまで国際社会の圧力を無視してきた中国政府だが、今回の釈放はただの例外だと指摘し、「ほかの人権運動活動家への見せしめとして、知名度の高い同氏を逮捕した」としている。国内で不法に弾圧されている法輪功のために支援活動を続けてきた弁護士・高智晟氏は昨年拘束されてから、各国政府と人権団体の呼びかけがあったにもかかわらず、いまだに所在不明。

艾未未氏は釈放について、「とても嬉しい」と話す一方、「何もコメントできない。こういう状態なので」と多くを語ろうしなかった。

(翻訳編集・高遠)
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