チベット僧が焼身自殺 当局、寺院封鎖=四川省

【大紀元日本8月18日】四川省カンゼ・チベット族自治州で15日、チベット人ラマ僧が中国政府の制圧に抗議するため焼身自殺した。その直後から、大量の警察がその僧侶が所属する寺院を包囲した。それを受け、現地のチベット人住民が寺院側の声援に駆けつけ、警察と対峙しているもよう。

国際人権団体フリー・チベット・キャンペーン(本部・ロンドン)によると、15日正午、カンゼ州タウ県にあるニンツォ・ゴンバ(霊雀寺)の僧侶ツェワン・ノルブさん(29歳)は県政府の前で大量のビラを撒いた後、ガソリンを被り焼身自殺を図って死亡した。

目撃者の証言によると、ノルブさんはそのとき、「チベット人は自由がほしい」「ダライ・ラマ万歳」「ダライ・ラマをチベットに帰還させて」などと叫んでいた。

AFP通信は、同寺の僧侶からの情報として、ノルブさんの遺体は寺院側に回収されたが、千人余りの警察が寺院を厳重に包囲したと報じた。寺には約百人の僧侶が生活しており、その出入りが禁止されており、水と電気、食品の供給が止められた。また、事件直後から現地への外国人の立ち入りも禁止されたという。

また、当局はノルブさんの遺体を強制回収しようとしていることも伝えられており、現地のチベット人住民は寺に駆けつけて警察と対峙しているという。現地の電話とインターネットが通じなくなっている。

7月6日、ダライ・ラマ14世の76歳の誕生日のこの日に、現地のチベット人僧侶はお祝いのイベントを開催しようとしたが、5百人以上の警察に止められて、一部の寺院には厳しい監視が敷かれ、水と電力の供給が中断された。ノルブさんが所属する寺もその対象である。今回の焼身自殺は、中国政府の制圧に抗議するためだと伝えられている。

四川省では近年、チベット人の抗議事件が多発している。今年3月にも、四川省アバ県の若い僧侶が焼身自殺を図った。駆けつけた警察が彼に暴行を振るったため、数百人のチベット人と僧侶が集団抗議に出た。後に中国政府は現地で戒厳令を実施、300人以上の僧侶を強制連行した。その所在はいまだに不明である。

国連人権調査チームは6月、中国政府に対して、これらの僧侶の行方と近況の開示を求めたが、中国政府は対応しなかった。

(記者・林惟真、翻訳編集・叶子)

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