行方不明の知的障害者、3年も監禁されていた 家族が真相究明へ=河南省

【大紀元日本9月3日】中国河南省嵩県の宋嶺村ではこのほど、3年前に行方不明になった重度の知的障害者の男性が、刑務所にずっと監禁されていた事実が発覚した。家族が真相究明のために、地元メディア・河南商報に取材、調査を依頼したことで事件が明らかになった。

今年34歳の呂天喜さんは生まれつき重度の知的障害を患っていた。3年前、彼は家を出たまま行方不明になった。聾唖と全盲の母親は長年寝たきりで、年配の父親も息子を探す余裕がなかった。彼は何かの理由で亡くなったのではないかと家族は諦めていたという。

今年7月11日、同省の三門峡監獄から村役場に一本の電話が入って、事態が急展開した。刑期満了で釈放される「田星」という名前の犯人はこの村の出身だと自称していたため、身元を引き受けて欲しい、との内容だった。

翌日、呂天喜さんの叔父は刑務所を訪れた。対面して、「田星」は行方不明中の呂天喜さんであることが初めて確認できた。

叔父の証言によると、刑務所が発行した釈放証明書には次の情報が書かれていた。「名前、田星。1958年1月1日生まれ。強盗罪で2008年11月13日に洛陽市西工区人民法院から懲役3年、罰金1千元(約1.2万円)の判決を受けた。刑期満了で釈放」。家族が強く求めた末、刑務所がようやくみせてくれた裁判所の判決文には、「痴呆」という文字がはっきりと書かれていた。

急展開に、家族は戸惑うばかりだった。34歳の呂さんは決して53歳には見えない。重度の知的障害者である彼は誰が接してもすぐにその事実がわかる。そんな彼が一体どのような罪を犯し、なぜ法的責任を負い刑務所に入れられたのか。なぜ、逮捕・法廷審理・収監の事実を家族に伝えなかったのか。真相を究明したい家族は微かな希望を抱いて、地元紙・河南商報に情報を寄せた。

記者の取材に対して、彼は18歳と称しながら、一昨年に生まれたと答えていた。また、言葉の発音は濁っていて、村民の「通訳」が必要だった。なぜ刑務所に入ったかについては、強盗したと答えた。

隣人の中年女性は記者に対して、「この人は自分が何を言っているかまったくわかっていない。殺人したかと聞けば、殺人したと答える。まったく判断能力がないのだ」と話した。70歳の男性村民も、「逮捕、殺人などの言葉について、彼はまったくその意味が分かっていない」と語った。

呂さんの叔父は記者に、「警察、司法関係者は極めて無責任だ。刑事責任を問うべきではない重度の知的障害者を3年間も監禁するなんて、職務怠慢だ」と語った後、声を小さくしてつぶやいた。「もしかして、ほかの人が罪を犯して、甥に罪を着せた可能性もあるよね」。

家族は洛陽市の関連政府機関に諸々の疑問を呈して、真相の究明を求めた。そして、現地政府は調査チームを結成したが、結果がまだ出されていない。記者の取材に対して、各関連政府機関はコメントを避けている。

(翻訳編集・叶子)
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