重大犯罪を報道する中国記者、「国家機密漏えい」の罪に問われる

【大紀元日本9月29日】 国際ジャーナリスト連盟(本部・ブリュッセル)は27日、中国河南省洛陽市で発生した悪質な犯罪を報道した記者が、事件に巻き込まれて殺害されるなどの被害が出ていることについて、声明文を発表した。同連盟は、政府が罪名「国家機密漏えい」を濫用して、メディア関係者を抑圧しているとと非難した。

洛陽市では最近、報道関係者に被害が及ぶ悪質な事件が連続している。市局幹部が複数の女性を長期にわたり監禁し、性交渉を強要し続けたという事件が発覚した。これを報道したため「南方都市報」の記者・紀許光氏は脅迫されている。また、地溝油問題を微博でつぶやいた直後、「河南省洛陽テレビ」の記者・李翔氏がメッタ刺しにされ、殺害された。

広東省の有力紙「南方都市報」の紀許光記者の調査報道は先週22日、同紙で掲載された。同報道によると、洛陽市技術監督局執法チームの幹部・李浩容疑者(34)が自宅の地下室で2年にわたり6人の女性を監禁し、性的暴行を加え続け、そのうちの2人を殺害した。監禁された1人の女性が脱出に成功し、警察に通報したことで事件が発覚した。

紀記者のミニブログの書き込みによると、この事件が報道されるまで、現地公安当局内部では極秘内部機密として扱われていた。南方都市報が報道を掲載した当日、洛陽市共産党委員会の幹部2人が紀許光・記者の元を訪れて、取り調べを行った。内部の情報提供者を明かすよう強要し、この報道は国家機密の漏えいに当たると通告したという。

身の安全に恐怖を感じた紀記者はミニブログでその取り調べの詳細や、自分の電話が盗聴されていることを公開し、世論による監督・支援を呼びかけた。また、「実際には、我々が入手した情報は報道よりずっと多い。皆さんが周知している事情で、本紙の報道は最大限に控えめかつ冷静に処理した」と同記者はネット上でつぶやいた。同記者はその直後に、家族を連れて洛陽市を離れた。

中国国営通信社新華社は南方都市報の報道を転載したが、24日夕方に関連報道がウェブサイトから削除された。

紀記者のミニブログの書き込みは1万回以上転載され、強い反響を巻き起こした。多くのインターネットユーザーは、同氏を励まして支持の意を示した。

また、ネット上では次の書き込みも出されている。「最近、マイナス的な報道について、関与する幹部や金持ちを強調してはならないという内容の内部通達が下された。社会の激しい対立を緩和する狙いだ」。

このような世論の圧力のためか、洛陽市公安局のトップは24日、市民に公開陳謝し、関連する4人の幹部を職務停止し、調査を行う方針だと表明した。

一方、同報道の3日前、洛陽市テレビ局報道部の記者・李翔氏は帰宅途中に何者かに10カ所以上刺されて殺害された。警察当局は強盗目的だと公表したが、李記者の同僚たちは、同記者が追跡報道している「地溝油」の事件と関連していると主張した。同記者は全国各地で多発している、汚水や生ゴミから廃棄油を回収して再加工して販売する問題を調査しており、不法業者の恨みを買い殺害されたのではないかという。

国際ジャーナリスト連盟アジア支局は記者を狙った上記の2つの案件に強い関心を示し、中国の公安当局は然るべき措置を取って、政府機関が「国家機密漏えい」の口実で中国国内のジャーナリストへの騒乱・脅迫を制止すべきだと要請した。また、同連盟は、洛陽市政府当局に対して、2つの案件を調査して、その結果を公表するよう促した。

(記者・駱亜、翻訳編集・叶子)
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