「誘拐される前の記憶はあるか?」児童取引ドキュメンタリー作製される

【大紀元日本10月20日】これまでに中国を訪問したことのある人ならば、大きな駅の近くや街の路上で、楽器演奏したり物乞いをしたりする児童を目撃したことがあるかもしれない。これは「児童誘拐と売買取引」という深刻な現代中国の社会問題が、ほんの一部、表に露出したのを見たに過ぎない。

中国の治安当局は2009年前半、反誘拐キャンペーンを実行した。そして2010年末、9165人の女性と、5900人の児童の売買取引件数を発表した。また、これまでに9388人の子供たちと17746人の女性は救出され、誘拐犯として3573人が逮捕されたという。

しかし、実際に誘拐された児童の数は治安当局の発表よりはるかに多いと見られている。予想によると、毎年7万人もの児童たちが、犯罪集団により誘拐されている。

児童取引の狙いは何か? これには70年代後半から始まった一人っ子政策により、子供の「需要」が高まったことが一要因と見られている。息子を持ちたいという中国の強い伝統的な観念により、男児は、男子のいない家族に売られ、女児は、結婚していない男性の多い地域に売られていく。あるいは児童たちは、路上パフォーマー、物乞い、売春の目的で闇市場に売られていく。

 語られる児童売買

児童誘拐と売買取引の問題についてとりあげたドキュメンタリー映画「死んだ心と共に生きる(現題:Living with Dead Hearts):中国児童誘拐調査」が、近日公開される。

監督のチャールズ・カスター氏は、中国に強い関心を寄せるアメリカ人だ。現在、北京在住の彼は、人気の高い英文ブログ「中国オタク(ChinaGeeks.org)」を運営し、成長を続ける中国語ブログの世界を分析し、英語に翻訳している。

カスター監督は、このドキュメンタリー映画を単なる統計と分析に留めず、ストーリー性を有し感情に訴えるものにするべく、この社会問題に真っ向から取り組んだ。

昨年末、ドキュメンタリーの製作資金を集めるため、特別基金を設立して広く寄付を呼びかけた。結果、100人以上の有志者より8500ドル以上を集めた。その後カスター氏は、自身の許せる限りの時間を児童誘拐の追跡、被害者である両親、かつて誘拐児童であった人物への取材や、撮影に費やした。

そして今月、ついに予告編が封切られた。

カスター氏の最終的な目標は、大陸に住む中国人個人が持つストーリーを、大陸以外の海外に住む人々との感情を繋ぐことにある。そのためカスター氏の質問内容は、大変シンプルなものである。例えば、子供を誘拐された両親に対して、「お嬢さんがいなくなったことに、いつ気が付きましたか?」「彼女の性格や趣味など、多くのことを教えてもらえますか?」「警察や学校に通報したり連絡したりする以外、他のどんな方法で彼女を探しますか、捜索手段の計画は?」など。

また、かつて誘拐児童だった人物に対しての質問には、「誘拐される前のことを覚えていますか?」「あなたの今の両親は、あなたを誰から『購入した』のか覚えていますか、そして今、どのように感じていますか?」と、カスター氏は問題の関係者たちに正面から質問していく。

映画撮影の進捗状況は、公式サイト www.livingwithdeadhearts.com で確認することができ、「中国オタク」特別コーナーでも、中国誘拐児童について知ることが出来る。

(文・Andy Yee 翻訳・佐渡 道世)
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