チベットで集団焼身自殺の予告ビラ 中国政府は警備強化

【大紀元日本10月26日】今年に入ってから、チベットへの抑圧に抗議するため、チベット僧侶の焼身自殺事件が続発したが、中国政府は「姿を変えたテロ」として対応する姿勢をみせていない。そのような状況下で、22日、四川省アバ県で町に中国語のビラが大量に撒かれ、中国政府がチベット人の処遇を改善しなければ、近いうちに40人が集団焼身自殺を図ると宣告する内容だった。一方、青海県同仁県の隆務寺では先週、20数人の僧侶がハンガー・ストライキを遂行した。

今年3月から、チベットでは計9人の僧侶と尼僧が焼身自殺を図り、5人が死亡、4人は中国警察当局に連行されてから所在不明になっている。

北京在住のチベット人作家ツェリン・オーセルさんがそのブログで公表した写真は、1人のチベット民族衣装の男性が焼身自殺する現場が写っており、公安当局の車両が付近に止まっていた。乗っていた警察官は助けなかったという。

10月17日、20代の尼僧が焼身自殺して死亡したのを受け、インドを中心に世界各地のチベット人とその支援団体は相次ぎ追悼と抗議集会を開き、中国政府に対して、チベットへの抑圧をやめるよう求めた。

そのような状況の中、インドにあるチベット亡命政府のガサンジェンツァン議員によると、四川省アバ県では再びチベット人が焼身自殺を計画している。同議員は国際社会に対して、チベット人の深刻な状況に注目するよう訴えた。「約2日前から、アバ県ではたくさんのビラが撒かれていた。中国語で書かれており、40人以上の僧侶が焼身自殺を計画しているとの内容だった。それを受けて、中国当局は現地の各寺院への監視を強化した」

一方、青海県同仁県の隆務寺では先週、20数人の僧侶がハンガー・ストライキを敢行した。ノルウェーの「チベットの声」ラジオは参加した僧侶の証言を引用して報道した。それによると、隆務寺の20数人の僧侶は18日の夜8時から19日の午後5時まで、寺内でこの抗議活動を遂行した。焼身自殺した僧侶たちへの追悼の意を示すとともに、現地の緊張情勢への関心を呼びかけるためだという。

ガサンジェンツァン議員がラジオ・フリー・アジア(RFA)に寄せた情報によると、中国の公安当局は同抗議活動を直接には阻止しなかった。寺の住職に対して、活動をやめるよう説得しただけだった。

2008年4月17日、同寺では平和的抗議活動が行われた。その時、警察当局は150人以上の僧侶を一時拘束した。そのうちの1人、60代の卡索仁切波活仏(カソ・リンポチェ)は武装警察に暴行を受けて頭部、肩および腹部に重傷を負い入院治療した。最近、釈放されて寺に戻ったばかりだった。

今回の抗議活動を受けて、RFAの記者が同寺に電話取材したところ、対応した僧侶は言葉を濁していたが、現地政府機関「南州宗教局」と寺管理会の関係者が寺に進駐していることがわかった。

ガサンジェンツァン議員の話では、電話が盗聴されているため、多くの僧侶は電話で関連することには触れたくない。「情報漏えいで10年の懲役刑が科せられるかもしれないからだ」という。

同議員によると、中国当局はいま、警備の範囲をチベット人全居住区に拡大している。「中国当局はすこし慌て出している様子だ。もはや警戒を強化するほか解決策がない。いま、ラサ市内では大勢の警官が街中で巡回し、職務質問を強化している」「当局は2万人以上の工作チームを各村に進駐させている。抗議の拡大を防ぐためチベット人への監視を強化するためだ」という。

ある漢族住民はRFAの取材に対しても、当局の警戒態勢が再び強まっていると証言した。

(翻訳編集・叶子)
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