温家宝首相の母校演説 「民心は政権の存亡を決める」 党内保守派への警告か

【大紀元日本11月9日】 中国の温家宝・首相は10月25日、母校の南開中学で講演する際に、幼少時代の家庭の苦しい経済事情などを明かし、毛沢東・元主席が引き起こした政治粛清で、祖父や父が度々迫害を受けていたと話した。また談話の中で、首相は「一人の指導者にとってもっとも重要なのは、民情、民心、民意を理解すること。民心を得られるかどうかは政権の存亡を決める」と述べた。同首相が最高指導部内の保守派に対して、政治改革を促しているとの見方がある。

知識人をおもな読者とする国営メディア「光明日報」は10月29日、温家宝・首相のこの講演の全文を掲載した。一方、中国政府直属の新華社は28日、首相が母校で教師と学生との懇談会を開いたと報道し、講演の詳しい内容に触れなかった。中国共産党の機関紙「人民日報」は関連報道を出していない。一方、国外のメディアは相次ぎ首相の同談話を転載している。

同首相の講演によると、自身は幼少期から家庭の経済事情が非常に厳しかった。父方の祖父は学校を創設するなど熱心な教育家だったが、1950年代の末期から、(毛沢東が率いた)政治粛清運動で批判の対象となり、度々懺悔書を書かされていた。そして、1960年に脳いっ血で死亡した。また、学校の教師だった父親も1960年に、「歴史問題」があるとして弾圧の対象となり、懲戒免職にされた上、農村で豚飼育の仕事を強いられた。

首相は講演で次のような言葉を発した。

「公平の基本は、生存、競争および発展などの面で、一人一人は皆平等な機会を享有すること。経済力とかその他の特権に左右されるべきではない。ある政府はもし民衆と民生を軽視したら、すなわち、最も基本的ことを軽視している。公平と正義は社会を支える大黒柱だ。それを失ってしまうと、社会という建物は倒壊する」「国の命は人心にあり、人心を得られるかどうかは社会の発展と政権の存亡を決定する」

温首相はこれまでにも様々な場で政治改革の必要性を論じてきた。今回も自身の経験を交えて、強権統制の弊害を警告していると見られている。一方で、首相は党内で強固な権力基盤を持っていないため、実質的な変革を導く力がないとの見方も根強い。さらに一部では、同首相の改革擁護の言論は一種の政治パフォーマンスに過ぎず、歴史に名を残すためだという意見もある。

英紙デイリー・テレグラフは2日の報道で、温首相の今回の母校での講演は、「(毛沢東路線を支持する)党内の保守派に警告を発した」としている。今年の5月にも、同首相は中国の政治の世界に「封建社会の遺物」と「文化大革命の遺毒」という2つの嘘を好む勢力があると批判していた。

(翻訳編集・叶子)
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