中国、イランを中東の軍事基地へと構築=米外交誌が警告

【大紀元日本11月16日】中国政府はイラン中東における軍事基地として構築し、米国との対立陣営の重要なパートナーとして位置づけている。14日付の米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)が指摘し、米政府の警戒を呼びかけた。

国際原子力機関(IAEA)はこのほど、イランが軍事利用を目的に開発を進めている可能性を公表したが、イランへの経済制裁の発動には、同国の最大貿易国・中国の態度がネックとなっている。

「窮地」は存在しない

イラン問題において、中国政府はしばしば自身の窮地をアピールし、理解を求め、さらに外交上の有利な条件を手に入れようとしている。その窮地とは、エネルギー面でイランとの協力関係を必要とする一方、米国と良好な外交関係を保ちたいという板挟み状態。だが、この状態は実際には存在しないと同記事は分析する。

この裏付けとして、米国の同盟国である日本と韓国は、イランに対する国際的制裁を積極的に支持しながら、依然とイランからエネルギーの供給を取得しつづけている。

つまり、中国政府がアピールする難しい立場はむしろ言いわけに過ぎず、根本的には、中国政府はイランを米国に対抗する潜在的なパートナーとして見なしており、中東における軍事基地として築きあげようとしている、と記事は主張する。

軍事基地へと構築

イランと中国の協力関係は決して石油と天然ガスといったエネルギー面に止まらない。記事によれば、中国政府はあらゆるルートでイランへの戦略・軍備の支援を行ってきた。1980年代から1990年代にかけては、中国はイランの核関連開発に助力し、巡航ミサイルと弾道ミサイルの技術も提供していた。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査報告によれば、これらの技術は、価額にして36億ドル以上にのぼる。

最近、この手の支援はいっそう進んでおり、対艦巡航ミサイル、狙撃銃、徹甲弾、ロケット弾、対空ミサイル、地雷やその他の爆破装置など、中国製の武器がイランに流入し続けている。

核関連プロジェクトへの中国の技術提供はいっそう警戒すべきだと記事は指摘する。今年始め、核弾道ミサイルに使用されるアルミニウム粉末を、中国がイランに提供した疑いがあるとする国連報告書がまとめられたが、中国はその公表を阻止した。また、昨年には、遠心分離機に必要な高品質の炭素繊維を、中国企業がイランに提供したことも報道されている。

イランを中東における軍事基地へと転換する構想は、以前から中国政府が抱いていたもの。1998年に出版され、2009年に再版された中国防衛アナリスト・張世平氏の著書『中国の海上権益(中国海権)』のなかで、イランは中東における中国の軍事基地として望ましい場所だと記されていた。この見解は、空軍大佐の戴旭氏や海軍大将の尹卓氏など、中国で有名な軍事専門家からも支持されている。彼らは、イランは米国やインドとの対立陣営における1つの切り札であると見解する。

制裁に「気乗りしない」

イランを自国の軍事基地として構築し、軍備や核装備に密かに肩入れをする中国。そんな中国がイランへの制裁に消極的な姿勢を貫いてきた。イラン制裁を検討する国連安保理常任理事国5カ国にドイツを加えた「P5プラス1」会合に対して、中国は長期にわたって反対しており、会合への出席を拒否するか、相応しくない人選を出席させている。イラン問題を検討する外交会議における中国の態度は、常に「気乗りしない」という印象だという。

フォーリン・ポリシーの記事と同じ時期に、米有力上院議員チャールズ・シューマー氏(民主、ニューヨーク州)がフォックスニュースに、中国のこのようなやり方は極めて短絡的だと批判した。「彼らは常に自分の利益を一番に考えている。たとえそれが世界危機につながることを意味しても、まったくおかまいなしだ」。シューマー氏は、中国政府のこのやり方は多くの国際問題の解決を阻むものであると批判し、米国はもっと強い姿勢を示すべきだと主張した。

(翻訳編集・張凛音)
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