中国に時速500キロの列車 「誰が乗るのか」と批判殺到

【大紀元日本12月28日】今年7月、40人の死者を出した中国高速鉄道がこのほど、新たに時速500キロ走行が可能な高速列車を完成させたという。大手鉄道車両メーカー・中国南車が26日、車両を公開した。同事故の調査報告書が今だに発表されていないにも拘らず、一段と限界スピードを挙げるという無謀なプロジェクトに、懸念と非難が相次いでいる。

同社のチーフエンジニア・丁参参氏の説明では、今回発表された車両の頭部のデザインは、中国古代の剣を、後部は現行列車CRH380Aと同じく、人工衛星打ち上げロケット「長征」のデザインに似せたもの。6両編成で、全車両が動力車だ。

26日付の北京晨報は、「わが国は高速列車の開発で、重大で画期的な成果を得た。国際社会において、高速鉄道の領域での発言権を一層強めた」と同高速列車の開発成功を讃えた。

一方、北京交通大学の趙堅亦教授は、「フランスはすでに時速574.8キロの列車を開発したが、導入はしていない。わが国も時速500キロの列車を運行させるはずがない。高速列車開発の重点は走行の安全性に置くべきだ。わが国はまだ多くの核心的な技術を開発できていない」と慎重な見方を示した。

40人の死者を出した温州高速鉄道事故に関する事故原因調査報告は、9月の予定から遅れ、今だに発表されていない。高速鉄道への不信感が依然高い中で、「更なる高速」の発表に、ネットでは。「300キロでも事故が起きるのに、こんなの誰が乗るのか」などの批判の声が相次いでいる。

皮肉たっぷりのコメントも聞かれる。「偉い人が試しに1年乗って大丈夫だったら乗ってもいい」「500キロで追突事故が起きたら遺体確認もできない。その時『死者ゼロ』になるのか」。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は新列車の形に注目しつつ、「剣はしばらくの間、まだ鞘に収まっているのが唯一の慰めだ」とコメントした。

(翻訳編集・叶子)
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