「中国政府への報復」タリバン組織 パキスタンで中国人観光客を殺害 

【大紀元日本3月3日】パキスタン警察当局によると29日、同国ペシャワル市内で中国人女性観光客と同伴男性が襲撃され、死亡する事件が起きた。同日、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」は、「報復行為」として同事件の関与を認める話をロイターの電話取材に対して答えた。

TTPのスポークスマンは「イスラム兄弟に対する『残虐行為』に対して中国政府に復讐するため」と犯行理由を述べている。この事件の前日、新疆ウイグル自治区カシュガルでは一般人を巻き込んだ集団暴力事件で20人が死亡する惨事が起きていた。

殺されたのは北京大学の学生である姜華さん(40)とパキスタン国立大学の学生スルマン・シャムスさん(20代前半)。当時ペシャワル市内の混雑した市場を観光中であった。

過激派によるテロ行為は、同地区では珍しいことではない。今回も現地警察当局は無差別テロと見ていたが、断定はしていなかった。姜さんが26日に現地空港に到着してから尾行されていた可能性も確認していたという。

スルマンさんの葬儀は29日夜に行われた。父親は、中国との関係を考慮して女性との外出を控えるよう息子に助言したが聞き入れられなかった、と現地メディアの取材に対して答えた。

中国当局はかねてから同国西部地区での「東トルキスタン独立運動を図る訓練された武装テロ組織」の存在を主張しており、軍や武装警察を配置させ、現地のイスラムの宗教的習慣などに規制と抑圧を加えてきた。

TTPの行動は反パキスタン政府、アフガン駐留のNATO軍に対する抵抗で、独自のイスラム法の解釈に基づく。今回のような外国人、特に政府と同盟関係にある国の出身者が「報復殺害」対象となるのもこれが初めてではない。2007年7月には中国人3人がイスラム過激派の犯行により殺害され、中国当局に殺害シーンを納めたビデオを送っている。パキスタン政府関係者は当時の事件を、両国間の関係に亀裂を入れるのが狙いとの見方を現地紙ザ・ニュースに答えていた。

在パキスタン中国大使は現地警察当局に対し、事件の早期解決と犯人逮捕を求めている。

(翻訳編集・佐渡 道世)
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