胡耀邦の命日に清廉を唱える温家宝 「悲壮感の漂う理想主義」と仏紙

【大紀元日本4月17日】中国国営新華社は15日、温家宝首相が共産党誌『求是』に寄稿した文章を紹介した。文章のタイトルは「権力の運用を日の目に晒そう」。文章の内容は今までの温首相の腐敗反対の主張を繰り返すものだったが、発表するタイミングが注目されている。

タイミングの1つは、中共政権内部の権力闘争が熾烈さを極めているこの時期ということ。温首相と対立陣営にいる薄煕来氏は現在、取り調べを受けており、彼が関与した汚職が中共政権以来最大規模とも囁かれている。温首相は文章で、腐敗反対と清廉な社会の実現を訴え、政府が効果的な監視を受けることで初めて権力の乱用を抑制することができると強調し、重慶事件を意識した発言とも読み取れる。

また、新華社ウェブ版が文章を紹介した15日は、清廉潔白で知られ、温首相が師として仰いでいる胡耀邦・元総書記の23回目の命日でもあった。胡氏はかつて体制の腐敗に嘆き、「案ずべきは人民であり、党ではない。個人の利益ではなおさらだめだ」と発言していたが、結局、体制を改善するどころか、「自由化提唱」の責任を咎められ、総書記就任7年後に失脚した。国民に尊敬された彼の死去は、89年の学生民主運動のきっかけともなった。温首相がこのタイミングに合わせて清廉な執政を訴える文章を発表するのは、胡耀邦氏を追悼し、胡氏の宿願が23年経っても実現することができないという無念さも滲ませたいからだという。

一方、温首相の論調に中国人はもはや関心を寄せないとラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)は同日に掲載された評論で指摘した。徹底的な政治改革を行い、民主的な監督制度が確立されない限り、腐敗がなくならないとの認識が一般民衆に定着していると同時に、政治改革は執政党からメスを入れないと意味がないとも見られている。しかし、執政党である中国共産党の最高指導部は9人の常務委員からなっていながら、政治改革を積極的に唱えるのは温家宝首相1人しかいない。RFIは温首相の発言は「悲壮感の漂う理想主義」に過ぎないと評した。

胡耀邦氏の理想主義から温家宝氏の理想主義。23年の年月が経ったが、共産党政権の専制と腐敗は改善されるどころか、悪化する一途をたどっているとRFIは指摘。温首相が文章で訴えた「日の目」から、中国の政治がむしろ、ますます遠ざかっており、今まで政治改革を拒んできたことが中国に専制という大きな影を作り、中国の政治を世の普遍的価値から引き離しているという。「国民を愚弄するために作られた『中国式』の政治理論は重慶事件をきっかけに、その虚偽性が世にさらされた」と厳しく批判した。

(翻訳編集・張凛音)

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