「陳情をやめれば、容疑者を死刑に」 裁判所が被害者家族と裏取引=共産党機関誌が暴露

【大紀元日本6月16日】中国国営新華社通信の内部機関誌「半月談」6月号で、河南省平頂山市の中級人民法院(裁判所)は殺人事件の被害者家族と裏取引し、証拠不十分にもかかわらず「陳情に行かなければ、容疑者を死刑に処する」という内容の同意書を交わしたと報じられた。

2001年8月2日、河南省叶県湾李村の未成年少女は何者かに殺害され、河に捨てられた。事件発生から5日後、当日の夜、殺害現場にいたとして、村民の李懐亮さんは容疑者として逮捕された。2003年8月、同県裁判所は故意殺人罪で李容疑者に懲役15年の判決を言い渡した。李容疑者と被害者家族の双方は判決を不服として、平頂山市中級裁判所に控訴しながら、北京へ何度も陳情に行った。

「半月談」の報道によると、2004年5月17日、平頂山市中級裁判所は被害者家族と、「被害者家族が陳情を取りやめれば、李容疑者を死刑に処する」という内容の同意書を交わした。

同年8月3日、同裁判所は李容疑者に故意殺人罪で死刑を言い渡した。判決を不服として、李容疑者は二度にわたり、河南省高級裁判所に控訴した。同高級法院は二度にわたり、「事実関係が不明、証拠が不十分」との理由で、平頂山市中級法院の判決を棄却し、再審理を命じた。同中級裁判所は一度目では2年の執行猶予付き死刑判決を出したが二度目の再審理は停止状態で、李容疑者は身柄を拘束されたまま、すでに10年以上が経過した。

「半月談」によると、同死刑同意書の内容は、平頂山市政法委の許可を受けていた。著名弁護士の莫少平氏はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、「中国では政法委の権力は絶大で、公安、検察、裁判所、司法などの機関を実質上完全に牛耳っている」と指摘した。

同内部機関誌は最後に、「多くの低層の国民は司法ではなく陳情を、社会正義を守る最後の手段だと認識している」と評した。

VOAは記事で、「この事件を通して、中国の司法は独立していないことや、法治を犠牲にしてまで社会の安定を維持しようとする弊害を露呈した」と指摘した。

(翻訳編集・叶子)
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