<赤龍解体記>(72)軍人事権争奪で激闘、胡錦濤「総政治部」を制覇か

【大紀元日本7月2日】中共18大開会を控え、軍部における要職をめぐり各派閥間の駆け引きが激しく行われているさなか、中央軍事委員会直轄の四大部の一つである総政治部の副主任で、軍紀律検査委員会主任を兼任する童世平大将が、18大後に人事権を握る政治部主任に昇進するもようという。一方、江沢民派は江沢民の腹心で、賈廷安・現総政治部副主任を主任に推薦するという情報も飛び交っている。

胡錦濤の腹心である童世平氏は、2009年から軍の総政治部副主任と規律検査委員会主任を務め、2010年、軍の最高階級である「上将」(大将)に昇進した。慣例によれば、総政治部主任は中央軍事委員会副主席に昇進し、その前職の後任は一般的に副主任で規律検査委員会主任が引き継ぎ、そして中央軍事委員会のメンバーとなる。

胡錦濤は中央軍事委員会主席就任後、「西北軍」(蘭州軍区)の郭伯雄氏と、「東北軍」(瀋陽軍区)の徐才厚氏・梁光烈氏による中共軍部支配に対抗し、広州軍区から腹心の二人を抜擢し、北京に赴任させた。一人は現北京軍区司令官の房峰輝大将であり、もう一人は前記の童世平氏であった。

中央軍事委員会の四大部の中で、総政治部は特殊な存在で、軍の高級幹部の評価、推薦、任免など、絶大な人事権を握っている。

中央軍事委員会構成員の定年退職年齢は67歳とされている。この基準からすれば、李継耐現総政治部主任は、18大で現職から降りることになり、童世平副主任が後任に就くものと思われる。

一方、海外メディアは6月21日、「18大」後に江沢民の腹心の賈廷安氏が総政治部主任の職に就くだろう。それは「次時期総書記の習近平にとって、賈廷安による支持が派閥間バランスにきわめて重要」であると報じ、世論戦が繰り広げられている。

しかし、賈副主任は、軍隊の中で「軍隊横領第一人者」とされる王守業・元海軍副司令官の後ろ盾であり、密輸入や賄賂の罪で調査を受けていた頼昌星容疑者からの収賄容疑があり、内部の機密情報を頼容疑者に漏らし、カナダに亡命させた疑いもあるという。

江沢民は、引退前から軍の内部に腹心を配置していた。賈廷安がその一人である。中央軍事委員会から大きな圧力をかけられる中、江沢民は、2003年、賈氏を軍事委員会事務局長に抜擢し、2005年、軍人出身ではなかった賈氏に中将の階位を授与し、2007年、胡錦濤を牽制するため、総政治部副主任の職に就かせたのである。

人事権を担う軍の総政治部主任の職を、どの勢力が取るかは、はなはだ注目されることであり、今後の中国情勢を占う重要なポイントでもある。

                         

(翻訳編集・呈工)
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