人気スマホiPhone5生産の裏 「インターン」で大学生が富士康工場作業員に 

画像は富士康深セン工場の様子(glue works/Flickr)

【大紀元日本9月12日】「インターン生」とは通常、大学教育課程の一環として組み込まれる企業研修に参加する学生のはずだが、大手部品メーカー・富士康(フォックスコン)社にとって「繁忙期に追加される学生工場作業員」と訳されるようだ。

電子機器メーカー・アップル社の人気スマートフォンの最新機「iPhone5」が米国や日本などで12日に発売される。iPhone の部品を製造する富士康の工場が置かれる江蘇省淮安市は、このたびの最新機種の生産により、すくなくとも市内5大学の授業が一時停止した。学生たちは「インターン」で同社工場に動員され、労働を強いられていた。

中国ミニブログ・新浪微博で今月4日、淮安にある江蘇財政経済職業技術学院の3年生が、情報の拡散を呼びかけていた。「新学期が始まると、すぐに富士康でインターンとして2カ月働かなければならないという通知を学校から受けました。10000もの人的資源に切迫している、というのが理由ですって!街中の学生は工員として動員されるのです。私は整備士や機械工の専門学生じゃありません。金融や経済を勉強しているんですよ!」。

また米ニューヨーク・タイムスの取材に答えた学生の話によると、大学の教育課程にこのたびの富士康インターンは組み込まれていなかったという。多くの学生たちは生産ラインに配置されることになり、大学で専攻する教養にはほとんど役に立たない労働を強いられる。学生は一日8~12時間労働で週6日働き、ひと月あたり1550元が支給されるが、さらに宿泊設備建設費として220元引かれるという。

富士康はかねてから過酷労働や低賃金、作業員の自殺などで労働問題が指摘されていた企業で、米国や欧州では不買運動が起きていた。8月22日にはアップル社と共同で、労働者人権団体・公平労働協会にて労働環境の改善をうたう報告書を発表したばかりだった。

主導した淮安市、TV報道で態度変える

このたびの富士康インターン計画は、地元当局が主導していたと推測されている。淮安市政府の公式サイトによると、副市長が8月の市議会で「向こう3月、富士康の労働者を見つけることが優先事項だ」と発言しているのが記録されている。

学生たちは抗議活動を活発にすることもできなかった。なぜなら大学側が「インターン研修を済ませないと単位を取得できず、卒業できない」と学生たちに通知していたからだ。しかし5日には、国営テレビで同問題が取り上げられ報道されたため、6日には富士康インターンが導入された大学に対して淮安市政府は「教育に関連する法案にのっとって早急に問題を解決するよう求める」との簡単な文章を送っていた。

淮安市のケースは良いほうだ、との報道もある。伝えられるところによると、山西省太原市や山東省烟台でも同様のインターン計画が実施されたという。一部の学生にとって新学期は退屈なものになりそうだ。

 (翻訳編集・佐渡 道世)

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