「決死の覚悟で18大を保衛せよ」 軍内各所に貼られたポスター、指導部の不安を物語るか

APEC会期中の胡錦濤主席(Getty Images)

【大紀元日本9月12日】依然と発表されない第18回共産党大会18大)の日程。依然と姿を見せない習近平副主席。もはやミステリー化した中国の政局に世界のメディアが注目している。

シンガポール有力紙ストレーツ・タイムズは、中国軍内の各所に貼られているポスターに注目。「決死の覚悟で18大を保衛せよ(誓死保衛十八大)」と書かれたこのポスターは、脅威があるからこそ保衛しなければならないという、指導部の不安を窺わせていると分析する。同紙はさらに、共産党指導部は、党大会前と会期中に緊急事態が起こることを予想し、その事態の解決に迅速かつ有効な軍隊の出動を見込んでいるとの見方を示した。

現在の中国人民解放軍は国軍ではなく、中国共産党の軍であるため、党の直接的な影響下にある。その中国の軍部が決死の覚悟で備える「緊急事態」とは、派閥闘争をめぐり軍内部において交戦が起こる事態であると同紙は分析。中国には7つの軍区があり、支持派閥もそれぞれ分かれている。なかでも成都大軍区と蘭州大軍区は、重慶市前トップ薄煕来氏のサイドだとされている。「薄と軍部との繋がりを断ち切らなければ、胡錦濤と習近平は政権の足元を揺さぶられる可能性がある」とストレーツ・タイムズは指摘する。

この種の緊急事態を指すかどうかは不明だが、胡錦濤主席が国内で起きた「極秘かつ重要な」問題を処理したことで、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開会が遅れたことが明らかになった。この情報は米ニュースサイトのハフィントン・ポストが10日の報道で、ロシアのプーチン大統領の話として伝えたもの。「極秘かつ重要な」問題について、習副主席の不在と関係があるのではないか、と同報道は疑問視した。

一方、ニューヨーク・タイムズは、59歳の習副主席は「心臓病による軽微な発作を起こしただけ」と報じている。同紙によると、この情報は北京在住の政治アナリストが共産党幹部から聞いた話だとし、習氏の健康問題が今秋の共産党大会に影響ことはないという。

目前に控える第18回中国共産党大会。この15年間ではいずれも9~11月に行われ、また、その日程は過去3回とも8月末ごろに発表されている。今年はこれらの情報がいまだない中、次期指導者とみられ、党大会の主役となるはずの習副主席が10日間以上、公衆の面前から消えている。

ブラックボックスの中で何が起きているのか。「中国の秘密主義的政治の文化が、この30年間の経済・社会の発展や最近のインターネット、特にミニブログによる情報の爆発的な広がりにもかかわらず、進歩していない」とウォール・ストリート・ジャーナルは評する。

(翻訳編集・張凛音)
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