宣伝と政法が外されるか 常務委員の減員は「円滑な権力配分のため」

「前門の虎、後門の狼」に睨まれながらの今後の10年、習近平の舵取りは(AFP)

【大紀元日本11月14日】北京で開催中の中国共産党大会では、新しい中央委員や政治局員、政治局常務委員が選出されるが、常務委員が7人なのか9人なのか、さらに、「差額選挙」が党指導部中枢の政治局員や政治局常務委員まで拡大するかが注目の的となっている。

在米中国政治評論家の高新氏と何頻氏は英BBC放送の取材で、政治局常務委員が7人になった場合、外される2つのポストは文明(宣伝)委書記と政法(公安・司法)委書記との見方を示した。

高氏によれば、反腐敗を強調する中で、規律検査委書記が降格される可能性は小さい。また、党務を管理する副書記や、首相と副首相も従来からの制度によるもので変わる可能性はない。さらに、全人大委員長と政治協商会議主席という2つのポストは、党の支配を浸透させるため、常務委員の席から外れることはない。これは_deng_小平の遺言でもあるという。総書記のポストを加え、この7つのポストはほぼ確定と言える。

一方、何氏は、政法委の絶大的権限が中国を法治社会からさらに遠のけたと指摘。本来けん制し合うはずの裁判所、検察院、公安局、国家安全局、武装警察、民政局、司法局などの権限が政法委に一極集中したため、「中国が警察国家になってしまい、安定維持との名の元でかえって中国を不安定にしている」との見解を示した。

また、文明(宣伝)委の存在で、中国は過去10年間、メディアへの統制は天安門事件当時よりも厳しくなっていると何氏は指摘。2つのポストが降格されれば政治的に意義のあることだと話した。

だが、この2つの委員会のトップを常務委員から外すことは、彼らの権力を弱めるためではなく、党内部の権力配分をより円滑に行うためだと両氏は見ている。「中国の法治の発展や報道の自由には、実質的な意味はない」と何氏は強調した。

一方、党大会最終日の14日、候補者が定員を約8%上回る差額選挙で中央委員と中央委員候補が選出される。この差額選挙が政治局や常務委員会まで広がる可能性について、高氏は、当局は今回、宣伝していないことから、党指導部中枢となる政治局と常務委員会では差額選挙が行われないと分析した。

差額選挙の意義について、何氏は「民主制度では、立候補者は自らの公約、方針などを有権者に伝えることができるが、中国の差額選挙では、党内文書や他人からの情報で立候補者を判断するしかない。これは不公平で正確性に欠く」と否定的。さらに、国民は「党内である程度の民主が実行されている」と惑わされやすいと警戒感を示した。

(翻訳編集・余靜)
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