中国新版パスポートに関係諸国が反発 中国国内からも「迷惑」と批判

中国新パスポートに国内から非難の声(Guang Niu/Getty Images)

【大紀元日本11月28日】中国政府が新たに発行したパスポートに、周辺諸国と係争中の南シナ海や台湾などを中国領とする地図などが印刷されたことに、関係国が一斉に反発している。中国問題専門家は「非常にずる賢いやり方」と評する一方、市民からも「迷惑だ」と批判の声が上がっている。

5月に発行された新パスポートの問題は、発行半年後に表面化した。パスポートには南シナ海全体を自国領とする地図が印刷されている。台湾の観光名所「日月潭」「清水断崖」の絵も載せられている。

ある中国問題専門家は、このやり方は「非常にずる賢い」と批判し、「南シナ海の領有権を主張する国々は、この中国パスポートに入国スタンプを押印すれば、間接的に中国の領有権を認めることになってしまう」と中国の目論みを指摘した。

11月下旬から、フィリピンやベトナム政府が抗議に出た。フィリピンは「その地図は明らかにフィリピン領土の一部を含んでいる」として、中国政府は国際法に違反していると主張している。またベトナム政府は「パスポートの誤った部分の是正を求める」と反発している。台湾では、対中国政策を担当する「大陸委員会」も23日に声明を発表、「現実を完全に無視し、対立を挑発する行為だ」などと非難した。

米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は中国問題専門家の見解として、「これらの国は中国当局のやり方に抗議しても、現実的な経済利益のため、最終的には妥協してしまうであろう」と報じた。

インドはすでに対抗策を取った。中国人入国者に発行する査証には、インドの国土の地図を押印している。この地図では関係地域がインド領になっている。

ベトナム政府は、中国パスポートへの押印を取りやめ、別紙で査証を交付している。

一方、このパスポート問題は中国のウェブでも話題になった。

ある中国人は、「一部の国は怒っていても、なす術がない。中国人の入国を拒否することもできない、我々はそのGDPを押し上げているからだ」と書き込んだ。

また、関係国に入国する際に、入国審査時間が非常に長くなったとか、滞在査証の延長が拒否されたとかの情報も相次いだ。「ただでさえ、非常に不便であるわが国のパスポートがますます煩わしくなった」と迷惑を感じている中国人も少なくない。

このパスポートの有効期限は10年間、すでに百万册以上発行されているもよう。一連の抗議に対して、中国外交部は「中国の新版パスポートはいかなる国にも対抗していない」と主張し、関係諸国に対して、「理性を持って冷静に対応してほしい」と呼びかけている。

問題の地図には尖閣諸島は中国領として編入されていない。

米国務省のヌーランド報道官は26日の記者会見で、中国の新パスポートに米国の入国スタンプが押されても、中国が主張する南シナ海の領有権を「承認でするものではない」とコメントした。 

(翻訳編集・叶子)

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