中国の国有企業、トロイの木馬か 「冷戦は終わっていない」と専門家

 トロイの木馬 (AFP/Getty Images)

【大紀元日本1月12日】中国の国有企業を「トロイの木馬」と見なす考えが根強い。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は7日、こういった見方を分析し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などを用いて中国の海外投資を制約しても、その効果は限定的だと指摘した。

国有企業が「トロイの木馬」と見なされる理由には、その経営戦略に中国政府の国家戦略が託されていることが懸念されているからだ。国有企業は国家あるいは政府機関が最大の投資者であるため、企業運営の最終決定権は共産党政府にある。

そういった国有企業が中国の海外投資の主役になっている。米議会の諮問機関「米中経済安全保障再考委員会」がまとめたデータによると、2007年から2011年の第3四半期まで、米国の産業機械や航空宇宙、自動車、物流などの業界への中国投資のうち、9割は国有企業によるものだという。

中国企業の性質を判断することも難しい。多くの大手民営企業の裏に、中国軍の働きが存在するのではと米政府は疑いの目を向けている。

米政府は現在、TPPを通じて中国の国有企業に規制を掛けようとしているが、その効果は限定的だとウォール・ストリート・ジャーナル紙の同記事は指摘している。中国は、TPPのねらいは中国排斥にあると強く反発しており(中央対外連絡部の黄華光主任)、米国の影響力にも陰りが見えていることが理由に挙げられている。

一方、ブッシュ政権で財務副長官を務めたロバート・キミット氏は、IMFが2008年に国際ワーキンググループを設けて政府系ファンド(SWF)の規制策定に乗り出した時のように、新たに国有企業に関する国際協議が必要だと提案。だが、国有企業は中国にのみならず、欧米や日本にも存在するため、協議は難航すると同記事はみている。中国側もこの種の協議に「差別性」があると非難している。

米スタンフォード大学で研究を行っている北京大学経済学教授の夏業良氏は、あらたな規制原則が策定されても、中国政府は従う訳がないとの見方を示した。教授は米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、「中国政府がもっとも恐れているのは資本の自由化」「(中国の海外投資は)経済利益よりも、海外資源をコントロールすることと浸透することに重点を置いている」と述べ、今後もその姿勢が貫かれると指摘した。

「冷戦は終わっていない。西側は中国政府の一部のやり方に対して十分な警戒とけん制をしなければ、中国は21世紀のナチスになりかねない」と教授は警鐘を鳴らした。

(翻訳編集・張凛音)
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