中国の出稼ぎ労働者問題 都市住民増加の疑問=英メディア

北京の出稼ぎ労働者 (Getty Images)

【大紀元日本1月23日】中国国家統計局は先週、2012年の都市人口が7.12億人に達し、前年より2100万人増加したと発表した。昨年の国内総生産(GDP)成長率が13年ぶりに8%を割り込むなど経済が減速しているにもかかわらず、大量の出稼ぎ労働者が都市部に流入している。英紙タイムズは増加の一途をたどる出稼ぎ労働者問題について警鐘を鳴らした。

昨年4月、中国当局は出稼ぎ労働者の人口が18.7%増にあたる2億5千万人になったと発表した。また、2010年に行われた国勢調査では、都市人口が初めて農村人口を上回ったことが明らかになった。さらに、2030年までに都市人口が10億人を上回ると見込まれている。

同紙は『中国十億城民(China’s Urban Billion,暫訳)』の著者で、北京経済研究公司「龍洲経訊(GK Dragonomics)」のトム・ミラー氏の話として、増え続ける出稼ぎ労働者らが都市住民のために都市を建設しても、不法移民のような生活を強いられていると指摘している。

出稼ぎ労働者の住まいと仕事は都市部にあるが、正式な都市住民の戸籍がないため、都市の「不法移民」と見なされている。

都市に戸籍がないので、社会保障、医療、教育を満足に受けることができず、名ばかりの都市住民である。

ミラー氏は著書で、この問題を適切に処理できなければ、多くの出稼ぎ労働者は永遠に下等公民となり、都市住民と同等のチャンスや待遇を得ることはできないと指摘している。

さらに同氏は、この問題を解決するには戸籍制度の改革が不可欠だが、出稼ぎ労働者の福祉や社会保険を提供することとなると、21兆円の費用が必要で財源が問題となると述べた。これは政府がなぜこの改革に及び腰なのかの理由でもあると記した。

(翻訳編集・坂本了)
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