北朝鮮核実験 習体制、「身から出たサビ」で進退両難

北朝鮮核実験を行った12日、中朝国境となる鴨緑江を巡視する中国兵(AFP)

【大紀元日本2月13日】飼い犬に手を噛まれるー。「血で結ばれた」友好国と称え、自らの外交カードとも位置づけ、食糧から武器まで、全てにわたって援助してきた北朝鮮が、ふたたび中国にそっぽを向いた。中国各地が旧正月でにぎわう12日、北朝鮮は2006年、09年に続き、3回目の地下核実験を強行した。「国際社会の反対を顧みない再度の核実験に断固反対」と中国外務省は従来よりも語気を強め、北朝鮮問題で手を焼いている様子がきわ立った。

同外務省の声明は北朝鮮に対し、「非核化の承諾を守り、情勢を悪化させる行動を停止するよう強く要求する」とした。さらに同日、楊潔チ外相が北朝鮮の駐中国大使を呼び「厳正な申し入れ」を行い、「一層局面を悪化させる言動をやめ、対話で問題を解決させる場に復帰するよう」要求した。

中国は先月、北朝鮮に対する国連の制裁決議案に異例な賛成票を投じた。その直後に、北朝鮮は「高度な核実験」を予告し中国や関係国への反発をあらわにした。その「有言実行」の実施により、核をめぐる危機がいっそう深刻化し、中国の習近平新体制にとっても「大きな試練」になっていると指摘されている。

米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は同日、その「大きな試練」について分析した。核保有の隣国の暴走を止めるため、習体制は、国連の制裁決議案に同調し制裁を強めるか、それとも、北朝鮮への石油パイプラインや投資をストップするかという2つの選択肢に直面している。前者はふたたび北朝鮮を怒らせることになり、後者は金正恩政権と決別することになる。どちらも中朝関係の悪化は避けられないが、それでも中国は北朝鮮が「火遊び」を止めないとさらなる脅威にさらされかねないという進退両難な局面にあるという。

習体制はこのほど、米国との「新しい形の大国関係」を強調している。「新しい形」は、もし「関係改善」を意味するのであれば、中国は北朝鮮制裁に対しさらに強硬なスタンスが求められる。この姿勢は、金正恩政権の崩壊を促しうるが、一方で、統一した朝鮮半島は米国の同盟国になることは必至。これは習体制が望む構図ではないとNYTは分析した。

だが、もし「新しい形」は「協力しない」ことを意味するなら、米国は、日本を含め北東アジアでミサイル防衛システムの強化に踏み込むに違いない。これも習体制が危惧する状況だ。中国が掲げる「新しい形」の構築は極めてきわどい状況にあることがうかがえる。

同時に、中国国内の世論も政府のこれまでの北朝鮮の後見人的な姿勢をめぐり批判が強まっている。人民日報系の環球時報は今月6日、「3回目の核実験に踏み切れば重大な代価を支払うことになる」と、北朝鮮への援助削減を訴えた。インターネットでも12日、著名人の政府批判が飛び交った。北京大学法学院の賀衛方教授は、「米と小麦粉は狼のエサになったようだ。わが国の外交政策はしっかり反省しなければならない」と助言。中国社会科学院の于建嶸教授は、「正義なき外交政策を長期にわたって実行していると、お正月であっても門の前で爆弾を鳴ら(落と)される」と、北朝鮮の暴挙は中国政府の今までの政策の「身から出たサビ」だと痛烈に批判した。

(張凛音)
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