<赤龍解体記>(117) 江沢民「三つの代表」論 党の通達から姿を消す

【大紀元日本6月10日】中国共産党の指導部において最近、政治理念の混乱が見られる。習近平勢力と江沢民勢力との揉みあいが表面化するなか、江沢民の理論「三つの代表」論が党中央の文書から姿を消した。この新動向は今後、共産党の政権にどのような影響を与えるか、注目されている。

5月28日、中国の多くのメディアは、共産党の中央組織部、宣伝部と教育部の党組織が「大学における若手教師の思想政治工作を強化する16条の指導意見」という通達を教育機関と関係組織に下したと伝えた。

その中で、「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、中国の特色のある社会主義の理論体系についての教育を強化し、科学的発展観を踏み込んで学習し実践しなければならない」としている。通達はまた、習近平氏の提出した「中国夢」思想を繰り返し言及し、思想教育強化を重点として強調した。しかし、江沢民の「三つの代表」理論は通達のなかで言及されることはなかった。

「三つの代表」論は、江沢民氏が2000年2月に発表した思想で、中国共産党は「中国の先進的な社会生産力の発展の要求、中国の先進的な文化の前進の方向、中国の最も広範な人民の根本的利益」を代表すべきと論じるもの。これまで、「三つの代表」はマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、_deng_小平理論と並べられることが多く、中国共産党綱領にも記入されている。

「三つの代表」は、発表された当初から形式的なスローガンなどとして疑問視されてきた。それにもかかわらず、江沢民が引退した後も、共産党の通達や党大会のコミュニケなど重要な文献において、「三つの代表」論は必ずマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、_deng_小平理論に次ぎ、胡錦濤の「科学的発展観」の前という位置にあった。

しかし、共産党幹部の腐敗が深刻な今の中国では、「人民の利益を代表する」などを鼓吹する「三つの代表」論は国民の笑いのタネと反発の対象となっている。政権の存続をかけた習体制の腐敗撲滅は、実質的に、党が「先進的文化」「人民の利益」を代表するという理論を自滅させるものでもある。

また、江沢民時代、司法・公安などを凌駕する中央政法委に絶大な権利を与えたことで、法治がいっそう破壊され、幹部の腐敗や道徳の堕落もこの時期に深刻化。こういった問題で頭を悩ます習体制は、一方で江沢民氏の影響力を薄めたい算段もある。「三つの代表」論を風化させる動きはこの一連の思惑が噛み合った結果であることを窺わせる。

(翻訳編集・呈工、張凛音)

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