農民が7800万で修復 万里の長城の一部 再国有化説が浮上

【大紀元日本6月20日】甘粛省嘉峪関に住む52歳の農民、楊永福さんは、これまでに長城の修復に500万元(約7800万円)を費やした。自らが修復した部分を観光スポットにし、入場料1人25元を徴収している楊さん夫婦に最近、「商売」が打ち切られる可能性が出てきた。

楊さんが修復を始めたのは2000年。それまでの数十年間、長城の石は農家の壁となったり、道路や鉄道の「邪魔」になれば、容赦なく分断されたりと様々な被害を受け、至るところ、無残な姿となっていた。

当時、財政難に陥っていた地方政府の取った苦肉の策は、個人による修復を呼びかけることだった。楊さんはそれに応じた「民間修理工」の一人だった。

貯金や親戚からの借金で、廃墟同然だった790メートルの壁を立派な城壁に建て直した。城壁はレンガで積み上げ、表面には泥を塗った。高さ4.5メートルの城壁が連綿と続き、のろし台も備えた。

「皆、修復は政府の仕事だと言うほどだった」。楊さんはAFP通信の取材を受けた際にこのように話した。「この成功に自分でも驚いている。愛国行為と讃えてくれる人もいる」

楊さんは修復した長城に入り口を設け、駐車場なども構えた。妻の陶さんは訪れた観光客から1人25元(約400円)の入門料を徴収する。「今日は30人ぐらいだ」と客足におおむね満足していた。この偉業に、周囲は楊さんを「楊皇帝」などと呼んだという。

楊さんが住む嘉峪関市は、万里の長城の最西部に位置する嘉峪関で有名。楊さんの修復した長城はこの政府の認める名所から一山しか離れていない。

しかし2006年、遺跡に対する専属管理権は政府にあるとの法律が突然発表され、楊さんの修復は違法行為と見なされた。

2000年ごろと違い、地元政府の財政も潤っていた。嘉峪関市の責任者は、楊さんが長城の修復権を得たのは「特殊な事情があったからだ」とし、現在は個人の修復は認められないという。同責任者はさらに楊さんの長城の再国有化をほのめかし、楊さんはそれによって一定の報酬が支払われるとの意向を示した。

しかし、まだ100万元の借金が残っている楊さんにとっては、事態は「絶望的」だ。「(修復に)政府の支援を得たことはない。政府は僕がニセ長城を建てたと批判する。これには黙っていられない」。楊さんと地元政府の交渉はすでに数回にわたって行われてきたが、妥協点はまだ見出されていない。

(翻訳編集・張凛音)
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