北朝鮮の政治犯収容所に「大虐殺」あったか=フォーブス誌 1万人「行方不明」

【大紀元日本10月16日】米フォーブス誌は11日の署名記事で、北朝鮮政治犯収容所で「大虐殺」が行われた可能性があると伝えた。収容所は昨年解体されており、収用されていた2万人を超える政治犯のうち、少なくとも1万人の行方が判らないという。

記事は、米人権活動家で2009年布教目的で北朝鮮入りし、その後43日間にわたって拘束された韓国系米国人ロバート・パク氏によるもの。「大虐殺」が行われたとされる収容所は、咸鏡北道会寧市にある「22号管理所」。JR山手線の内側の3倍の面積という広大な敷地で、2万人以上の政治犯が収容されていたという。3万~5万人が収容される時期もあったとされている。

北朝鮮咸鏡北道会寧市に有ったとされる政治犯収容所「22号管理所」(大紀元中国語版より)

記事によると、昨年収容所の解体が終了した時点で3000人の政治犯が収容されていた。それとは別に、7000~8000人が夜間、同様な政治犯収容所16号と25号に移送されたとの情報もある。しかしそのほかの約1万人については「完全に行方が判らない」。

米国の非政府組織・北朝鮮人権委員会(HRNK)が8月、22号収容所の囚人が急激に減少したことは「より詳細な調査が必要な残虐行為である」と非難した。

北朝鮮が同収容所を解体したのは、今までの行為の証拠をもみ消すためであり、「意外性を感じない」と記事は指摘する。2004年に英BBC放送はすでに、22号収容所に関するドキュメンタリーを放映。同ドキュメンタリーは、22号収容所の元所長で北京にある北朝鮮大使館の元武官クォン氏への取材などを通し、北朝鮮が政治犯や女性、子供を使い、生物・化学兵器の人体実験を行っていると報じた。クォン氏の証言には、「一家全員が毒ガス室で殺されるのを目撃した。両親は吐きながら最後まで、口対口の呼吸で、息子と娘を守ろうとした」との実例も含まれていた。

記事はまた、2004年に北朝鮮から脱出し中国に逃れた咸鏡南道にある化学工場のシニアエンジニアのカン・ビョンソプ氏が提供した証拠文書にも言及している。「移送証明書」と書かれたこの文書には、「上記の者を、化学兵器用液体ガスの人体実験のために第22号収容所から移送する」と明記されている。

元国連幹部で韓国の人権活動家キム・サンホン氏は米ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対し、カン氏一家とは長い付き合いで、カン氏が提供した文書について、「(本物であることを)百パーセント信じている」とコメントした。

記事はさらに、北朝鮮精鋭部隊の元兵士イム・チュヨン氏がアルジャジーラでの証言も紹介。「生まれつき脳や身体に障害があれば…政府は、あなたが社会に対する最大の貢献は、生物・化学兵器の実験のマウスになることだ、と言う」。今年5月、北朝鮮人権市民連合(本部・ソウル)のジョアンナ・ホサニャク氏は、北の警察と脱北した高級幹部の話として、北朝鮮は障害をもつ児童を利用して生物化学兵器の実験を行っていると報告し、イム氏の証言を裏付けた。

国連では今年3月、北朝鮮の人権問題を調査するための特別委員会を設置。9月17日、同委員会は、北朝鮮の政治犯収容所で行われている「言葉に出来ないほどの残虐行為」を指摘する報告を行った。生存者の証言から、乳児が溺死させられ、親族を目の前で殺されるなどの実態が明らかになっている。

これまでの報道を踏まえ、記事は「22号収容所から数多くの囚人が消えたことから、何が起きたのかは想像に難くない」と結んだ。

(翻訳編集・張凛音)
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