防空識別圏、専門家「国内向けのパフォーマンス」
【大紀元日本12月3日】中国が設定した防空識別圏の問題で、台湾の厳明国防相は2日、立法院(国会)の委員会で、中国の識別圏内に進入した自衛隊機や米軍機に対し、中国軍機が緊急発進したことをレーダーで確認したと述べた。確認したのは11月26、27、29日の3日間とも明かした。中国国防省は同29日に同圏内に進入した自衛隊機に、緊急発進したと発表したが、26、27日の発進は公にしなかった。国内外に領土を守る固い決意をアピールする絶好のチャンスをなぜ見逃してしまったのか。識者の間では、防空識別圏の設定は国民に対日の強硬姿勢を見せながらも、これ以上反日感情をヒートアップさせたくない「国内向けのもの」だとの分析が出ている。
ドイツ国営国際放送ドイチェ・ヴェレは11月30日の記事で、「推測」と断ったうえで、「中国では新しいリーダーはこれから着手する社会・経済改革のため、対外では攻撃的になる傾向がある」とし、11月に閉幕した共産党の重要会議、三中全会で投資プロジェクトへの民間参加が許可されるなどの国有企業改革が決まったことが影響していると報じた。この改革に国有企業や国有企業と癒着しうまい汁を吸ってきた地方政府が反発している。同時に推進された腐敗への取り締まりで数多くの幹部と党員の不満を招いた。「一連の改革で自由経済主義者の名を手に入れた習主席だが、経済の自由化が思想の自由化に繋がると懸念する党内の保守派を安心させるため、民族主義を利用した」と分析した。
米フィナンシャルタイムズ紙(電子版、11月28日)も同じ論調の記事を掲載した。「習近平国家主席は自身が掲げた中華民族の偉大なる復興を実現させるため、国民の注意力を海外に向けようとしている」と分析した。さらに、同記事は「国内に重大な問題が起こらない限り、中国は戦争を起こさないだろう」と国内情勢が念頭にあったことを述べた。