瓜畑のひそひそ話

【大紀元日本6月20日】瓜農家の陳四はある夏の夜、小屋で畑を見張っていた。陳四が大きな柳に目をやると、その下に数人の人影が見える。陳四は泥棒かもしれないと思い、寝たふりをしながら神経を尖らせていた。

その頃、柳の下では、数人が何やら話し込んでいた。

「陳四は寝ているかしら?」

「数日経てば陳四も我々の仲間になるのだから、遠慮なんかいらない。昨日、『土地神の祠』(※1)を見ていた時、私はすでに城隍神(じょうこうしん)(※2)の『索魂文書』(※3)を見たのさ」

すると、もう1人が言った。「知らんのか? 陳四の寿命が延長されたぞ」

「本当かい?それはまた、何故だね」

すると、一人が答えた。「ある屋敷で二千文の金が無くなったんだ。下女が盗んだと疑われ、彼女は何百回も鞭で打たれたが、認めなかった。下女の男親が、ひどく怒って『こんな娘は、いないほうがましだ。もし本当に娘が盗んだのなら、絶対に許さん!』と言った。下女は『これを認めなくても死に、認めても死ぬ』と泣き叫んだそうだ。陳四の母(下女と同様の身分)は彼女を憐れに思い、自分の服を密かに金に変えて、二千文を得たんだ。それを主人に捧げて、『私がお金を盗みました。御主人様はお金持ちですから、二千文が消えても、すぐには気が付かないだろうと思っていたのです。意外にもこの下女が非難されてしまって、恥ずかしい思いでいっぱいです。お金はまだ使っていないので、来世での恨みを作らないよう、今、死を覚悟して自首します。このまま、ここから出て行く事をお許しください』と言った。お陰で、下女は死を免れたのだ」

土地神は、陳四の母の品行を称え、このことを城隍神に報告し、城隍神はまたそれを東岳神(※4)に伝達した。東岳神が調べたところ、この老婦人は年老いて息子を亡くし、飢えと寒さで死ぬ運命だった。しかし、この功徳により、陳四の来世の寿命を借りてきて、今世を延長させ、老母に仕えるよう人生を変更したのである。

陳四は母が金を盗み、追い出されたと思っていたが、本当の理由が分かり、心を打たれた。

9年後、陳四の母は亡くなり、彼も母親の葬式を終えた後、病気にかかることもなく天寿を全うした。

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瓜畑でひそひそ話をしていた人達は、人間ではなく冥界に仕える者達であったようです。

『閲微草堂筆記』より

※1郷村の守護神

※2城市の守護神

※3魂を召す文書

※4冥界を管理する神

(翻訳編集・李正賢)
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