臨死体験から得た新しい人生

近代になって盛んに議論されている臨死体験。その有無については、医学、心理学、哲学、宗教など様々な分野による解釈がある。しかし、体験者本人は「亡くなった」状態で感じたことは、紛れもない事実であると語る。臨死体験によって自分の人生観が大きく変わったと話す人も少なくない。臨死体験は本当にあるのだろうか?ここで、一人の体験談をご紹介したい。

董逸璞さんの臨死体験

 ヨガのインストラクターをしている董逸璞(とう・いぽく)さんは台湾在住の女性。彼女は過去3回も臨死体験があり、それにより人生観が大きく変わったと話す。

 董さんは幼い時から、苦難に満ちた人生を歩んできた。台湾の宜蘭(ぎらん)で生まれた彼女は、貧しさから1歳の時に養女に出され、養母の非情な鞭の下で毎日戦々恐々とした子供時代を送った。結婚後は夫の不倫、賭博、事業の破産、取り立て屋からの逃亡生活など苦労の連続だった。不幸な境遇から、彼女は常に不満、怒り、怨念、復讐といった心情を抱いていた。

 しかし、重病による3回の臨死体験を経て、彼女の考え方は大きく変わった。「亡くなった」状態に陥ったとき、彼女は自分の肉体から離れて、すべての苦痛が一瞬にして無くなり、安らぎと幸福感に満ちたと話す。耳の側で神佛を賛美する歌が流れ、空中に光っている粒子が漂い、それらが佛号を唱えているように聞こえた。あの安らかな世界には調和、荘厳、慈悲が満ちており、何とも言えない幸福感を感じたという。

死によって得た新しい人生

 彼女は自分の肉体に戻って目を覚ますと、周りの人に言った。「私はとても遠い所に行って、たくさん素晴らしいものを見て来ました。生命は貴いものなので、大切にしなければなりません」。それからというもの、彼女は一人で4人の子供を大学に行かせ、親としての責任を果たした。また、「仁璞読書会」などの公益団体を創設し、社会の弱者を助ける活動に奔走した。更に『滄海回眸』(そうかいかいむ)という本を出版し、自分の実体験を綴って人々に今生を愛し、来世のことを配慮しながら生きる大切さを訴えた。

臨死体験の後

 2000年より臨死体験現象を研究している林耕新(りん・こうしん)医師は、世界臨死体験研究会の会員で、周大観文化教育基金会台湾臨死体験研究所の顧問を務めている。これまでに30例の体験者に対して調査研究を行った。

 研究によれば、臨死体験を経た多くの人は、生命観や価値観が大きく変わり、死を怖がらなくなるという。彼らは生命を愛し、物欲が少なくなり、自然を大切にする。また、飲食が素朴になり、環境保護の意識が高まり、進んで人を助け、より心を大切にするなどの変化が現れるという。また、一部の人には学習能力の飛躍的な向上、超能力、高い予言能力、難治性疾患を治癒する能力など、特殊な現象が現れることもあるという。

死は生命の終わりではない

 臨死体験の研究では、次のようなことが言及される。人間は宇宙の中で孤独に生きる生命ではなく、異なる空間にも生命が存在しており、死は生命の終わりではない。魂はまた別の形で存在し続ける。従って、自分の行為は現在の生命に影響するだけではなく、未来の自分の生命にも影響を与えるのだ。

 

 (翻訳編集・東方)
関連記事
とんでもないおふざけと残酷なディストピアを力づくで押し付けようとする単一の方針が、これほど急速に地球全体を支配したことはない。2020年、コロナウイルスを封じ込めようとする無益な試みによって、これは起こった。
1271年、モンゴルのフビライ・ハンが元を建て、初めての漢民族以外の皇帝となりました。その後、数十年にわたり、中国はかつてない規模の帝国となり、元は文化の多様性と国際貿易の栄えた時代となりました。
明の最初の皇帝・太祖の生い立ちは、朝廷生活とはほど遠く、彼は朱元璋と名付けられた農民の子供でした。彼は最初、僧侶の道を歩みましたが、モンゴル主導の元が朝廷内の闘争で弱体化する中で反乱軍に参加し、まもなく右に出るもののいない軍事家として才気を発揮することとなりました。
胃酸逆流の症状を抑える等、一般的な胃腸薬を服用している人は、知らず知らずのうちに偏頭痛を発症するリスクを高めているかもしれません。 このような一般的な治療薬と偏頭痛との関連性について、アメリカ神経学アカデミーが発行する「Neurology Clinical Practice」オンライン版に掲載されました。研究では、胃腸薬が偏頭痛を直接引き起こすとは断定されていないものの、両者の間には何らかの関連があるのではないかと考えられています。
子供のいじめ、自殺、暴力・・・昨今、心の痛むニュースが後を絶えません。生まれてきた時は、誰もが純粋で善良だったはずなのに、何が子供たちを悪へと走らせるのでしょうか。人生には学校の教科書から学ぶことのできない、大切な価値観があることを子供たちへ伝えることが重要です。将来を担っていく子供たちに、ぜひ読んでもらいたい物語を厳選しました。