囲碁と伝統文化

中国の伝統四大文化芸術といわれる琴、棋、書、画のうち、「棋」とは囲碁のことである。これらの文化芸術は儒教、道教、佛教の文化と融合し、数千年間、受け継がれてきた。

囲碁の起源に関しては諸説あるが、三皇五帝の尭帝時代にまで遡る説が最も一般的である。晋代の書籍『博物誌』の中には「尭は囲碁を造り、丹朱(尭帝の息子)を教化するために使った」という記述がある。

『左伝』、『論語』、『孟子』などによれば、囲碁は春秋戦国の時期(紀元前770年から)にすでに流行っていたという。唐代になって盛んになり、唐の玄宗皇帝は特別に「棋待詔」という囲碁の官職まで設けた。

その後5世紀に朝鮮へ、7世紀頃には日本へ伝わったとされる。貴族を中心に広まり、正倉院には碁盤と碁石も収められている。清少納言や紫式部も碁をよく打ったとされ、枕草子や源氏物語の中にも囲碁と思われるものが登場する。

囲碁の碁盤は一つの宇宙を象徴している。縦横19本の線によって361の目を作り出し、真ん中の目は宇宙の中心を、周りの360の目はそれぞれ一つの天体を意味している。

また360は旧暦の一年の日数であり、地球上の1年を表している。四隅は春夏秋冬を表す。

古代中国には「天円地方」という宇宙観があり、碁石と碁盤の形はこの考え方を反映している。円形の碁石は天を、正方形の碁盤は地を意味する。また、白と黒の碁石は、それぞれ陽と陰を表している。故に囲碁は、道家文化の象徴とも言われている。

甘粛の敦煌莫高窟の石室から発見された南北朝時期の『碁経』には、「361の目は天球の度数を意味している」と記されている。

囲碁の形式はとても簡単ではあるが、盤面状態の種類は非常に多く、その変化はかなり複雑である。宋代の学者である沈括の著書『夢渓筆談』には「34個の万の位が繋がった数字はおよそ盤面状態の種類の数になるだろう」と記されている程だ。その変化の種類を全て数えようとするなら、例え1秒で一種類を数えたとしても、数億年かかると言われている。故に「千古にも同じ局は2度と現れない」と言われている。

囲碁は『周易』、『河図』、『洛書』、『八卦』などと同様に、今期の人類の文明が創造した文化ではなく、先史文化の一種で、神から人類に伝えられた文化である。古文書『梨軒曼衍』には「囲碁は巴邛之橘の周穆王の墓から初めて見つかり、その後敦煌の石室や商山などの地にも発見された。囲碁はもともと仙人たちの心性を修める道具だった」と書かれている。

囲碁は博大で奥深い学問を含んでおり、神様が人間に残した文化である。長い歴史の中で、囲碁は多くの帝王や大臣、将軍、文人、武士及び一般の庶民に好まれ、多くの伝奇の佳話、詩文歌賦、兵書策略、国を治める方策などが生まれた。

現代になり、囲碁は勝負を競う道具として使われるようになり、中に含まれていた文化的要素は、次第に忘れられていった。

(翻訳編集・学誠)

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