中国富裕層を狙った国際詐欺事件 被害者がスイス当局に捜査要請

【大紀元日本6月17日】投資リスクを避けるため海外に流出する巨額中国マネー。富裕層を狙った大掛かりな詐欺事件が起きた。数十人の被害者がこのほどスイスのジュネーブを訪れ、2万9千人の中国投資家から合計12億ドル(約1500億円)を騙し取ったとして、同国企業2社への捜査を求めている。米通信社ブルームバーグが報道した。

2社の社名はAPIと Premiere Swiss Trust AG。被害者側の説明では、投資を募る際に10%の利回りが約束され、いわれるがままに香港の指定口座に投資金を振り込んだが、今年1月、投資口座にあるはずの金が全額消えていた。直後から会社側とも連絡がつかなくなった。

3月下旬スイスを訪れた被害者と称する20数人は、弁護士と面会し、スイス金融市場監督庁(FINMA)や検察当局、中国大使館などに調査・捜査を要請した。

これまでの2年間、APIは中国国内と香港で宣伝を繰り広げ、シンガポールで開催の投資家大会では、参加者全員に航空券と高級ホテルを無料で提供し、会場に知り合いを紹介した投資家に奨励金を渡すなど派手なキャンペーンを続けた。また「スイス金融市場監督庁から営業許可を受け、その管理下にある」と謳ったため、中国投資家の信頼を得たという。そのことについて、同庁は今年1月「完全に事実無根である」という警告書を発出した。知り合いを紹介した投資家

スイスを訪れた被害者の1人、43歳の広告会社社長は「その言葉を完全に信じ切った」と悔しさを隠せなかった。

スイス金融市場監督庁によると、2社ともに巨額赤字で5月から破産手続きに入った。同庁広報担当者は「2社ともスイスの良好な信用イメージを利用して客を集めた。実際には、その企業運営は主に海外からの遠隔操作である」と述べた。ジュネーブ検察当局は2社への捜査を行っているとした。

中国国内の被害者は上海、北京、重慶、深セン、湖北など全国各地に及ぶとされ、これまでにスイス大使館前や、北京市政府の陳情受付機関「信訪弁公室」前などで集団抗議を行ってきたという。

ブルームバーグによれば、香港警察当局も本件についてAPIを調べている最中で、被害総額は4.15億香港ドル(66億円)に達する。

香港の投資専門家はこう分析した。「巨額の中国マネーが投資リスクの低い海外へ流出する中、中国国家外貨管理局の管理システムを潜り抜ける送金ルートがあり、このようなマネーは国際詐欺に遭いやすく、捜査もより難しくなる」。この事件の送金状況がこれに該当するかは不明。

(翻訳編集・叶子)
関連記事
スイスメディアによると、同国が中国政府による新疆ウイグル自治区での人権侵害を批判したことで、中国側は両国が20 […]
スイスとポルトガルはこのほど、北京冬季五輪に政府関係者を派遣しないと相次ぎ発表した。
[マドリード/プラハ 10日 ロイター] - 感染力が強い新型コロナウイルスのオミクロン変異株が主流になった欧州で、大勢の人が隔離を余儀なくされる中、医療現場に加え、警察や消防のほか、学校などで人手不足が深刻化している。 英仏のほか、スイス、スペイン、ベルギーなどは人手不足解消に向け隔離期間の短縮などで対応。ワクチン接種が進んだこともあり、オミクロン株は感染してもこれまでの変異株ほど入院患者の増加
スイスのあるアマチュア考古学者が、同国南東部の丘で、2000年の歴史を持つ古代ローマの短剣を発見した。紀元前15年頃、古代ローマ人がこの地域の部族と衝突して戦場に残したものと推定される。
中国当局が台湾産の一部果物の輸入を禁止する中、スイス台湾商工会は禁止対象となった台湾フルーツの輸入を計画しているという。