中国人民銀行 (LIU JIN/AFP/Getty Images)

「5中総会」前 人民銀が6回目の利下げ実施、預金金利上限撤廃も公表

中国人民銀行(中央銀行)は24日、金融機関の貸出・預金基準金利など、金融機関から強制的に預金の一部を預かる預金準備率をそれぞれ0.25%引き下げることを実施した。同措置の実施で、一年物の貸出・預金準備金利は4.35%に、一年物預金準備率は1.5%になった。

今回の利下げは過去12カ月において6回目となった。19日に中国当局が発表した7~9月期国内総生産(GDP)成長率が6年半ぶりに7%を割り、6.9%になったのを受け、中国国内景気の一段鈍化が明らかになった。

中国共産党政権は26日から29日まで「第18期中央委員会第5回総会(5中総会)」を開く予定で、2016年から20年までの「第13次5カ年経済計画」を決定する見通し。市場関係者の予想より早まった今回の利下げと預金準備率の引き下げは、主に企業の資金調達コストを下げ、景気上昇を支援するための動きとされる一方、極めて重要な「5中総会」を控える前の政治的パフォーマンスともとられる。

なぜなら、これまでの利下げ措置の効果はほぼ現れていない。ほとんどの利下げ措置は国内外の市場関係者や投資家の中国経済に対する先行き不透明感を払拭させるためのもので、本質的に景気を好転させていない。しかも、度重なる利下げ措置はまだ消費主導型ではない中国経済に過剰投資の再発を招く恐れを否めない。

今回の利下げと預金準備率の引き下げの実施と同時に、人民銀行は商業銀行と農村提携金融機関などに対して預金金利の上限を撤廃すると公表した。これは形の上で金利の自由化を意味する。

このほど、人民元の対ドル基準レートをより市場実勢を反映する水準に設定したことや、上海自由貿易区で資本勘定による人民元の交換性を拡大すること、適格国内個人投資家(QDII2)モデルの実施を検討することなどは、金融改革の措置ともいえる一連の動きだ。しかし、これは12月に人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用されるための対策に過ぎない。

23日付「新浪財経」によると、人民銀行は「(金融機関の)金利自由化への行政的規制を撤廃したことは、人民銀行が金利への管理を撤廃したことを意味するものではない。ただ金利調整管理はこれまでと比べて、より市場化の金融政策ツールと伝達メカニズムを重視するだろう」と強調した。

(翻訳/編集・張哲)

 

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明