軍改革

中国軍改革 習近平氏の真意を読む

11月下旬に開かれた中国軍の最高指導機関・中央軍事委員会(以下、中央軍委)の改革工作会議で習近平・中央軍委主席は、2020年までに軍の管理・作戦指揮系統を再編するなど軍改革の枠組みを明らかにした。

注目ポイントは、60数年続いた軍の組織構造を変え、旧ソ連軍制から米国軍制に移行する動きだ。指揮権は総参謀部から中央軍委に返上され、「統合作戦指揮部」が陸、海、空の3軍種を指揮することになる。すなわち、中央軍委の主導権が強化される。

米軍事戦略の研究機関、ランド研究所の中国軍事研究の専門家アンドリュー・スコーベル氏は、9月初めに習氏が軍改革を発表した当初、「軍の指揮系統を大幅に見直し、各軍区に分散している指揮権を回収するであろう」と見据えていた。

  なぜ米国軍制に傾くのか、(共産党高級官僚の子弟からなる)太子党の主要人物、軍の劉亜洲・上将は著書『精神』で、「ライバルで強軍である米軍の長所を吸収するため」と明かした。軍に近い消息筋の話では、習氏はかつて軍上層部の会議で「他国の軍隊(米軍)が四面八方の情報を迅速に収集できるのに、わが軍は盲ろう者のようだ」と檄を飛ばしたという。

米在住の中国問題専門家、潤濤閻氏は、民主的政治体制あっての米軍建制へのシフトに政治体制の改革が必要不可欠だとして、中国の軍改革は2つの結果に分かれるとみている。「軍の改革が政治の改革を促し、中国は民主国家に変わるのか。それとも、アメリカ式の軍建制が専制政治と衝突し、強い権力を持つ軍が最高指導部の権力闘争に介入して内戦が起きるのか」

中央軍委直轄の3部門(紀律検査委員会、政法委、審計署)を新たに設置・改編することについて、大紀元本部の専属コラムニスト謝天奇氏は、習氏の側近が3部門の責任者に就任すると予想、「軍における江沢民派勢力網の切り崩しは今後さらに加速化し、中央軍委は軍全体への主導権を固めていくだろう」と分析した。

改革を実施する背景について、退役した岳剛・上将は海外メディアの取材に応じ、中央軍委とその主席の権力を高めることも狙いのうちだと指摘。「(江沢民派の軍内の権力ネットワークに束縛された)胡錦濤・前中央軍委主席は実権が乏しく実質上、軍を支配できなかった。習近平氏は前任の教訓を汲み取った」と述べた。

一部報道によると、今回の会議で一部の高級将官が改革方案に対する異なる見解を提起したが、習氏は「改革に反対する人は軍の発展に反対するに等しい、退任してもらうしかない」と譲らない姿勢を見せたという。

(翻訳編集・叶子)

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