一人っ子政策

「赤ちゃんを産むなら死んでやる」第二子出産に反対する中国の一人っ子

中国当局は、2016年から本土での第二子の出産を許可している。誰もが喜ばしいことだと思っていたが、当の子供たちは、弟や妹ができることを嬉しく思っていないようだ。第二子を希望する両親に抵抗して「自殺する」と哀願するケースもある。35年続いた一人っ子政策は、子供たちの考えを極端に自己中心的にさせた。

小学生の長男「赤ちゃんを産んだら死んでやる」

「南洋商報」は、先月ネット上で話題になった、小学生の男の子が自分の命を持って母親に赤ちゃんを産むのを断念させようとした動画を紹介した。動画の中で、男の子が泣きながら「今日はっきりと言う。赤ちゃんを産んだら死んでやる」と繰り返した。

長女の理解を得られず、中絶を迫られたケースもある。「武漢晩報」によると、ある44歳の母親は1年間の努力の末、第二子を授かった。しかし、13歳の長女は第二子の出産に反対しており、登校拒否、家出、建物から飛び降りるなどして両親に抵抗した。ある日、リストカットをする娘を見た母親は、娘を説得することができないと考え、第二子を断念し、妊娠13週で中絶手術を受けることにした。

18日の「青島日報」によると、山東省青島市の小学4年生のクラスで、両親の第二子の出産に反対する7~8人の生徒による「弟妹反対連盟」が設立されている。彼らの前で第二子の話をすると、表情がひょう変するという。

また、ある幼稚園の教師の話では、妹ができたために、もともと利口で大人しかった児童の情緒が、最近不安定になり、よく大声を挙げて怒鳴ったりするようになったという。なかには「弟や妹ができると、自分のおもちゃや食べ物を分けないといけないから、弟や妹は欲しくない」と話す児童もいるそうだ。

「南方都市報」20日付けによると、広州の小学校三年生の国語テストに「もし両親があなたに弟か妹を産みたいと相談したら、あなたは何と答えますか」との出題があった。回答から、多くの一人っ子は下の子が生まれることに否定的であることが示された。

「どうしても弟か妹が必要なの? もし弟か妹がいたら、私は一人っ子じゃなくなって、パパとママは私よりも弟や妹を好きになる。私に何か起きても、パパとママは全力で私を助けないかもしれない。だって私が死んでも、もう一人子供がいるから大丈夫だってきっと思うでしょう」

「ママ、もし帝王切開をすることになったら絶対危険だよ。体のためにも第二子は産まないで」

「私は第二子には反対しないけど、きっとママとパパは今以上に疲れるよ。私もある程度面倒を見ることはできるけど、もしお婆ちゃんが赤ちゃんの面倒を見てくれなかったらどうするの? やっぱり産まないのが一番だよ」

政策の失敗

両親と祖父母4人の過干渉・過保護のもとで育った一人っ子は「小皇帝」と呼ばれ、利己心が強く、極端な考え方をする子が多い。第二子の存在で「皇帝」の立場が危うくなると、自身の命を持って両親を脅す。このような子供の考え方は、35年も続いた一人っ子政策を実行した中国が生み出した弊害とみられている。小皇帝を生んだ背景に、専門家は「家庭教育、学校教育や社会の風潮にも多くの問題がある」と指摘している。

(翻訳編集・山本アキ)

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