気候変動と環境難民

現代版「出エジプト」が起こるか 中東・北アフリカ地域が急速に灼熱気候へ=独研究所

地球の気候変動の影響で各地の気温が上昇したことにより、環境難民(気象変動難民)が増加している。ドイツの研究では、中東や北アフリカの急速かつ極端な灼熱気候になりつつある地域では、人類の居住に適さないためこれから数十年の間に数万~数百万の人々が他の地域に移住しなければならないだろう。現代版の「出エジプト」が起こるかもしれない。

ドイツの学術研究機関、マックスプランク化学研究所の所長Lelieveld氏を中心とした研究プロジェクトにより、1970年から中東と北アフリカ地域で毎年観測される灼熱日の日数が倍増していることが明らかになった。地球規模の気温上昇に伴って、この傾向は今後も続くと見られている。

同氏は、将来的に中東と北アフリカ大陸の大部分で気候変動が起こり、この地域に住む人々が危険にさらされる可能性があると指摘している。

2015年に締結された、気候変動の抑制に関する多国間の国際的な協定であるパリ協定に基づき、各国は温度上昇の平均を2℃以下に維持しなければならない。だが今回の研究結果によって、この協定が実現できたとしても、中東と北アフリカ地域の夏の気温上昇はこの2倍の4℃ぐらいに上昇していくことが予測されている。

気候モデルによると、35年以内にこの地域において夏期の夜間最低温度は30℃以下に下がらず、日中の気温は46℃に達する見込み。さらに今世紀末にはこの地域の日中最高気温は50℃に達し、熱波が発生する確率は現在の10倍に達すると見られている。

研究者らは、極端な灼熱日の発生頻度の増加以外にも、気候変動が環境問題を派生させ、人々の健康に影響を与える可能性があるほか、干ばつや砂嵐の発生頻度が増加することも予測している。

同氏は、気候変動は中東や北アフリカ地域における生活環境を明らかに悪化させると指摘し、熱波や砂嵐が続くことにより、一部地域の人々はそこに住み続けることができなくなり、別の場所へ移住せざるを得なくなるだろうと危惧している。

(翻訳編集・桜井信一/単馨)

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