昨年11月中旬に中国共産党中央政治局と19大準備組から配布された、党・政府国家機関部門改革初稿の中に、19大で党指導層の構造改革案が盛り込まれたほか、政府系統、軍隊、司法系統にある一部の高級官僚職に、非共産党員の就任を可能にするとの提案が出された ( Aly Song - Pool/Getty Images)

習政権構造改革の目玉 非共産党員を政府高級官僚に登用か 

昨年11月中旬に中国共産党中央政治局と19大準備組から配布された、党・政府国家機関部門改革初稿の中に、19大で党指導層の構造改革案が盛り込まれたほか、政府系統、軍隊、司法系統にある一部の高級官僚職に、非共産党員の就任を可能にするとの提案が出された。香港メディアが報じた。

軍務・司法部門で、「副主任」「副部長」といった部門トップの補佐職に非共産党員が就任できるようにすることで、国政に対する党の影響力は相対的に弱まることになる。

党員以外に高級官僚の門戸を開く

香港の雑誌『争鳴』は、2017年秋に開催される19大で、党指導層に対し行われる構造改革で従来と大きく異なる点は、①中央委員会主席と二人の副主席を設けること、②中央書記処に総書記を設けること、③中央軍事委員会に副主席四人を設けることだと報じた。

また、国家機関に関する人事編制の改正について、初稿には、政府系統、軍隊、司法系統の一部の高級官僚職に、非共産党員の就任を可能にすることも提案された。

党の権力を少しずつ削ぎ続けている習政権

仏国営放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)は、今回の報道が一見取るに足らない内容に思えるが、実は19大で中国の指導層構造に大改革を行う可能性を示唆していると分析している。

政治評論家の唐靖遠氏は新唐人テレビの取材に対して、「非共産党員が政府や軍、司法関係の一部高級官僚職に就任できるようになれば、政権内部に及ぶ党外の力が相対的に高まることになり、習政権は明らかに党と政府の分離や、司法権の独立、さらに軍の国有化といった進歩的な方向へ進もうとしている」と説明している。

大紀元系列雑誌『新紀元』は3年前から、習政権が実施した政策の多くは、「左折ウィンカーで右折する/左向け右へ」と形容できると指摘している。つまり、「党のリーダーシップを堅持する」と声高に主張してはいるが、実際には中国共産党体制を絶えず変容する政策を導入していると分析している。

政府、軍、司法といった国の重要機関の指導者層に非共産党員が増え続ければ、党のリーダーシップは自ずからゆっくりと衰退していくことになると予想される。

(翻訳編集・島津彰浩)

関連記事
「中央政治局常務委員会」制度(常委制)はこれまで激しい権力闘争を生み出し「絶対的トップ不在」という状況を作り出してきた。指導権を発揮しあぐねていた習近平・総書記がここにきて中国共産党の主要な政治制度を変える、そのような兆候があちこちで出ているようだ。
今年に入り、習近平主席は、中国共産党中央政治局常務委員会制度(常委制)を終了し、「大統領制」に移行するのではないかと噂されるようになった。党内の専門家も、大統領制について言及している。しかし、中国共産党の一党独裁を基盤から揺るがす「大統領制」を実現させまいと、党の権力にしがみつく江沢民派は、これに反対する立場を示している。
習近平国家主席は7月22日に開催された全国改革強化小組第26回会議において、「改革は革命だ」と強調した。前回6月27日の会議に続き、習主席は2回、公の場で「革命」を口にした。
中国習近平国家主席が今月2~3日に「中央軍事委員会の軍隊規模構造及び兵力編成に関する改革工作会議」を主催し、昨年11月に行った中国人民解放軍改革の第1弾に続き、来年から新たな改革計画を実施する方針を示した。
 習近平国家主席は今月14~16日に開催された中央経済会議において、各地方政府に対して、同会議で制定した不動産市場バブルや国有企業の過剰生産問題などに関する政策と改革方案を「必ず実行せよ」「必ず着実に実施せよ」と命じた。専門家は、これまで習近平政権が制定した政策に抵抗してきた地方政府への、習氏の「警告である」と示した。
11月上旬、習政権は「監察委員会」を設立し、北京、山西省、浙江省をモデル地域に指定して国家監察体制の重大政治改革を打ち出した。これは習政権の「一石多鳥」の政治戦略であり、その狙いと真意について、大紀元系列の週刊誌「新紀元」が分析する。
11月上旬、習政権は「監察委員会」を設立し、北京、山西省、浙江省をモデル地域に指定して国家監察体制の重大政治改革を打ち出した。これは習政権の「一石多鳥」の政治戦略であり、その狙いと真意について、大紀元系列の週刊誌「新紀元」が分析する。
香港メディアはこのほど、習政権が中国共産党指導層組織の構造と人事編制の抜本的な構造改革に着手したことを報じた。今回の構造改革では、「総書記」という党最高指導者の名称を「主席」に変更するとともに、新たに副主席のポストを設け、国務院総理と人民代表大会委員長を自動的に副主席に就任させるという新たな政治構造を構築しようとしている。