来るべき大変革
常委制の廃止を見据える習政権
中国の最高指導者に就任して以来、さまざまな改革を推進している習近平国家主席だが、利権を奪われることを恐れる江沢民派から、猛烈な反発を受け続けている。習陣営は、現在の政治局常委の分権管理システムが、全面的な改革を推進するにあたり足かせとなっていることを認識し、常委制廃止のシグナルを発し続けている。
中国共産党中央政治局は、中国の共産党体制における最高権力機関であり、その中央政治局の常務委員会(常委会)は、党の意思決定を行う最高機関としての機能をはたしてきた。中共体制の中でもトップクラスのブラックボックスと言える政治局常委会だが、これもまた政治の駆け引きから生まれたものだ。常委会の内外では常に様々な権力闘争が繰り広げられてきた。
2002年11月に開催された16大(中国共産党第16次全国代表大会)で引退予定の江沢民だったが、在任中に行った数々の悪政について責任追及を受けるのではないかと案じ、共産党総書記の座を明け渡す前に、常委の数をそれまでの7人から9人に増やし、政法委の羅幹、宣伝部門の李長春をねじ込んだ。これにより、常委会での江派勢力を増強し、胡錦濤元国家主席と温家宝元総理の実権を骨抜きにすることに成功した。
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2017年秋に北京で開催予定の中国共産党第19回全国代表大会(以下、19大)で、中央政治局常務委員7人、政治局委員25人など最高指導部の人事が決定される見通しだ。習近平国家主席に近い情報筋はこのほど、19大後は中央政治局委員と常務委員の大多数が習派となり、党内の江派との権力闘争において絶対的な優勢になるとの見解を示した。香港誌「争鳴」11月号が報じた。
中国の習近平国家主席が中国共産党内の深刻な腐敗を取り締まるため、「トラもハエも一網打尽」と腐敗党員や党幹部を厳しく処罰する姿勢を示してから今年で3年経った。習政権が今年、腐敗幹部の取り締まりを一段と強化した結果、1月から11月8日現在までに、四川省長の魏宏氏を含む49人の省部級副職以上の高級幹部が摘発され、処罰された。
11月上旬、習政権は「監察委員会」を設立し、北京、山西省、浙江省をモデル地域に指定して国家監察体制の重大政治改革を打ち出した。これは習政権の「一石多鳥」の政治戦略であり、その狙いと真意について、大紀元系列の週刊誌「新紀元」が分析する。
11月上旬、習政権は「監察委員会」を設立し、北京、山西省、浙江省をモデル地域に指定して国家監察体制の重大政治改革を打ち出した。これは習政権の「一石多鳥」の政治戦略であり、その狙いと真意について、大紀元系列の週刊誌「新紀元」が分析する。
香港メディアはこのほど、習政権が中国共産党指導層組織の構造と人事編制の抜本的な構造改革に着手したことを報じた。今回の構造改革では、「総書記」という党最高指導者の名称を「主席」に変更するとともに、新たに副主席のポストを設け、国務院総理と人民代表大会委員長を自動的に副主席に就任させるという新たな政治構造を構築しようとしている。
習政権は元日、反対勢力である江沢民派の政治的陰謀があったことに触れ、厳しく批判した。 また、昨年10月に別の機関紙でも、江沢民派によるクーデター計画について一部公開し、首謀者とみられる周永康・前共産党政治局常務委員を名指しで猛烈に非難した。
昨年11月中旬に中国共産党中央政治局と19大準備組から配布された、党・政府国家機関部門改革初稿の中に、19大で党指導層の構造改革案が盛り込まれたほか、政府系統、軍隊、司法系統にある一部の高級官僚職に、非共産党員の就任を可能にするとの提案が出された。香港メディアが報じた。